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メルローはタンニンが少なめでまろやか|品種の特徴とおすすめワイン10選

メルローのイラストのアイキャッチ画像

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カベルネ・ソーヴィニヨンと共にボルドー地方の栄光を支えるもう一つのブドウ、メルロー。
時にシルクのようと表現される滑らかな舌触りと、たっぷりと口の中に広がる豊かな味わいは、カベルネ・ソーヴィニヨンの肉付け役として最高のパートナーです。

分かりやすい果実味と滑らかな口当たりが好まれ、世界各地で作られています。

こちらの記事ではメルローの特徴と厳選したおすすめのワインを紹介いたします。

メルローの特徴

実物のメルローの画像

比較的熟すスピードが速く、適度な湿度を好みます。
カベルネ・ソーヴィニヨンとは反対の特徴のため、ボルドー地方では互いを補い合うものとしてセットで栽培されてきました。

晩熟型で乾燥した気候、砂利質の土壌を好むカベルネと、早熟型で適度な湿気、粘土質を好むメルロー。
フレッシュでタイトな構造のカベルネと、クリーミーで詰まった味わいのメルロー。

栽培上の特徴も、味わいの特徴もカベルネ・ソーヴィニヨンと対をなすような損相です。
毎年の気候に対するリスクヘッジとしても、ブレンドの相性の良さとしても、カベルネとは切っても切り離せない関係にあります。

一般的に、果実味が前に出やすく、しっかり詰まった味わいと滑らかな舌触りが特徴。
クリーミー、リッチといったイメージが強い品種です。
カリフォルニアなど完熟し切る環境では非常にリッチで、ミルクチョコやバターのような印象すら受けます。

一方で、ポムロールやサン・テミリオンなどボルドー右岸の粘土石灰土壌では、がっしりと引き締まった表情もあり、若いうちは硬く濃く詰まったワインになります。

ブルーベリー、そして腐葉土の香り

果実味が表に出やすい品種です。
果実の印象としては、ブルーベリージュースやカシスジュースなど、黒紫の瑞々しい香が漂います。

樽熟成されると、果実味と相まってよりリッチな印象に。
バターやミルクチョコなど、こってりとした香りが漂います。

これがやや熟成すると、腐葉土やキノコ類、最上のものはトリュフを思わせるような香りになります。

栽培環境によってはミントのような青い香が出ることもあり、チョコミントのような印象を受けるメルローもあります。
これはチリカリフォルニアの一部で感じられるようです。

タンニン少なめでまろやかなワイン

メルローのタンニンが少し弱いことを表すグラフ

アルコール度数もしっかり、フルボディになりながらも口当たりの滑らかさが最大の特徴です。

しっかりとした渋みもきめ細かく、ザラザラとした印象を受けるものは稀。
酸味も強くなく、しっかりした赤ワインの中でも飲みやすい部類に入るはずです。

軽めの味わいに仕上げた廉価版ワインも多くありますが、どっしりと完熟させた重たいスタイルの方で活きる品種です。
むっちりと密に詰まった味わいを上品にまとめ上げる質感。

「シルクのような」口当たりという表現は、まさにメルローのためにあるようなものです。

おすすめワイン10選

1.シャトー・フルール・ド・ジャン・ゲイ・レゼルヴ A.O.C.ラランド・ド・ポムロール

生産国フランス
ラランド・ド・ポムロール
価格帯2,500〜3,500円

ポムロールから少しはみ出たラランド・ド・ポムロールというエリア。
たっぷりとしたバターやブルーベリージュースのニュアンスに滑らかで艶のある舌触り。
若干の硬さを見せながらも、ほぐれてきた時の豊かな味わいが非常に魅力的です。

2.メロイ ネストリ D.O.C.コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ

ネストリ 2017 メロイ 赤 750ml
メロイ
生産国イタリア
価格帯3,000〜3,500円

メルロー主体に土着品種のレフォスコがブレンドされています。
メルローの滑らかさとフリウリのしっとりした雰囲気に、レフォスコが腰の強さや下半身の安定感をプラス。
綺麗なだけで終わらない、ぐぐっと湧き上がるようなパワーを備えたワインになっています。

3.ラポストール キュヴェ・アレクサンドル メルロー D.O.コルチャグア・ヴァレー

生産国チリ
価格帯2,500〜3,000円

メルロー主体にカルメネールカベルネ・フランが少量ブレンドされます。
ずっしり詰まった果実にカカオ、キノコ、ほのかなセージの香り。
重たくとも味わいがつぶれず、きちんと伸びのある味わいで、間違いなくチリを代表するメルローです。

4.シャトー・デギュイユ

生産国フランス
ボルドー
カスティヨン
価格帯3,000〜4,000円

ボルドー右岸、コート・ド・カスティヨンのエリアにあるシャトー。
メルローに最適な粘土石灰質の土壌から、パワフルでありながら筋肉質に引き締まった味わいが生まれます。
メルロー80%にカベルネ・フラン20%のブレンド。

5.シャトー・ヴュー・プレ

生産国フランス
ボルドー
サン・テミリオン
価格帯3,000〜3,500円

ボルドー右岸サン・テミリオン地区のビオディナミシャトー。
メルロー主体にカベルネ・フランのブレンドという右岸らしいブレンドですが、瓶内で熟成しているので、贅肉の落ちた端正な味わいが楽しめます。
ボルドー右岸のメルローは、熟成してこそ真価が分かります。

6.ルーチェ・デッラ・ヴィーテ ルチェンテ

生産国イタリア
トスカーナ
価格帯3,500〜5,000円

有名なスーパー・タスカン、ルーチェのセカンドワイン。
メルローメインにサンジョヴェーゼをブレンドしています。
力強く濃縮した風味の中にも、トスカーナ州のワインらしく主張する酸味とハーブのような清涼感ある香り。
流石の仕上がりです。

7.シャトー サン ミッシェル メルロー コロンビア ヴァレー

シャトー サン ミッシェル メルロー コロンビア ヴァレー [2016] ≪ 赤ワイン ワシントンワイン ≫
オンラインワインストアWassy's
生産国アメリカ
ワシントン
コロンビア
価格帯約4,000円

アメリカ、ワシントン州コロンビア・ヴァレーで作られるボルドータイプのブレンドワイン。
メルロー、シラーを主体としたブレンドですが、舌触りの柔らかさやタバコ、革製品、土を思わせる香りなど、メルローの良さがしっかり感じられます。
完熟してしっとりした舌触りの中にも、透明感・フレッシュさが不思議と感じられる、ワシントン州らしい良作。

8.グランポレール 安曇野池田ヴィンヤード メルロー

生産国日本
長野
安曇野池田
価格帯4,500円

近年、日本のメルロー産地として注目を集めている長野県安曇野池田のメルロー。

ブルーベリーやチェリー系の香りと適度な樽香、タンニンもそこまで主張が強くなく、とても上品でスムーズな飲み口。抜栓後しばらくすると香りが大きく広がり、非常に楽しませてくれる一本です。

9.クラギー・レンジ ソフィア

生産国ニュージーランド
北島
ホークス・ベイ
価格帯6,500〜8,000円

ニュージーランドの北島にあるホークス・ベイで作られる、メルロー主体のボルドーブレンド。
ドライフルーツやインク、仄かな硬水の香りなど、ボルドー格付けのワインのスタイルそのままにボリュームを上げたような印象を受けます。
ニュージーランドのメルロー主体ワインの中でも、ひときわ優れたワイン。

10.シャノン メルロー

生産国南アフリカ
エルギン
価格帯2,500〜3,500円

南アフリカの冷涼地域、エルギンで作られるメルロー。
エルギンと言えばブルゴーニュスタイルのシャルドネピノ・ノワールで知られる産地ですが、このような素晴らしいメルローも生み出すポテンシャルがあります。
栽培可能な品種の多さもニューワールドの魅力のひとつ。
カシスやカカオのニュアンスに土、バターの風味。
どっしりとした味わいが楽しめます。

主な産地と産地よる違い

メルローの原産地はフランスボルドーです。

DNA鑑定で、

とすることが判明しています。

「マドレーヌ・ノワール・デ・シャラント」はマルベックの片親でもありますので、メルローとマルベックは親戚とも言えますね。

フランス・ボルドー

ボルドー地方の図解

フランスボルドー地方では、カベルネ・ソーヴィニヨンとセットになって栽培されています。
メドック地区などボルドー左岸では、カベルネの骨格に肉付けするように補助的な使われ方をしていますが、ドルドーニュ川の右岸ではポテンシャル全開で活躍。
ポムロール地区やサン・テミリオン地区の名声は、ひとえにメルローによるものです。

メルローが好む粘土質土壌に、場所によって石灰質が混じるこの場所は、早熟なメルローをゆっくりと完熟に向かわせ、同時にしっかりとした構造をもたらします。

むっちりと膨らみがあり、毛皮や土の香りがアクセントになるフルボディのポムロール、比較的ピシッと引き締まりがあり、フルーツケーキのような果実の甘やかな表現が目立つサン・テミリオン、といった印象です。

アメリカ

アメリカのイラスト

アメリカはワシントン州とカリフォルニア州で活躍しています。
どちらも完熟し、口の中を満たすようなリッチなボリュームを持ちます。
ともすれば締まりのない味わいになってしまいますが、ワシントン州、特にコロンビア・ヴァレーの良いものはフレッシュな酸で、カリフォルニア州ではどっしりと腰の据わった渋みでそれを防ぎます。

チョコレートやバター、革製品のニュアンスに、ナパ・ヴァレーなどではミントのような青い香りが加わることがあります。

イタリア

イタリアの国旗が入っている画像

イタリアはフリウリで素晴らしいメルローが作られています。

しっかりと熟したフルボディのメルローですが、全体に漂うしっとり感が特徴。
カリフォルニアのように甘くたっぷりした雰囲気も無く、どちらかといえばポムロールを穏やかにまとまりよくした印象でしょうか。
メルローの特徴である滑らかさは勿論ですが、キメ細やかなしっとりとした渋みが非常に魅力的です。

レフォスコなど、土着品種とブレンドされることもありますが、メルローの特徴が強く出てしまうので補助品種としてはあまり向いていないようにも思います。

トスカーナ州サンジョヴェーゼに10~20%ブレンドされることも多いですが、そういった意味ではあまり成功しているものは多くない印象を受けます。

トスカーナ州はむしろ、メルロー主体のワインに素晴らしいものがあります。
沿岸部のものは良く熟れたダークな果実にピリッとした張りのある味わいがバランスを、内陸で作られたものは引き締まったボディとゴリッとした骨格が感じられます。

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チリ

チリのメルローは完熟したブルーベリーとカカオ、ミントの香りが特徴。
チョコミントのような印象を受けることもあります。

チリは大きく海側とアンデス山脈側、そしてその2つに挟まれた中央平野に分けられます。
メルローは暑く乾燥した中央平野のコルチャグア・ヴァレーから質の良いものが生まれています。
コスパに優れるチリには珍しく、1,000円台前半では他の品種ほどのパフォーマンスを発揮してはくれませんが、2,000円以上出すと、ずっしりと詰まった果実と上品なハーブ香の素晴らしいものが手に入ります。

また、チリではカルメネールという品種が長年メルローと勘違いされ栽培されてきました。
そういわれてみると、成程似ているなという品種でこちらも興味があったら試してみてください。

日本

日本の国旗が入っている、日本を表す画像

なんと日本でもメルローは生産されています。

特に長野県塩尻市桔梗ヶ原のメルローはリュブリアーナ国際ワインコンクールで金賞を受賞するなど、世界からも注目されています。

厚みや力強さがあり、繊細な味わいと華やかな香りが広がるワインに仕上がっていますね。

メルローの品種に合う料理やおつまみ

メルローは丸みのあるまろやかな赤ワインです、濃いめの料理に合いやすいですね。

肉類
牛と豚のイラスト
  • 豚(ロースト、グリル)
  • 牛(煮込み、グリル)
  • 仔牛(グリル)
  • 羊、仔羊(茹で肉)
  • 鴨(胸肉)
  • 野獣類(野うさぎ)
  • ハム・ソーセージ
野菜類
野菜のイラスト
  • 果菜類(ソース添え、グラタン)
  • でんぷん質の食材
  • キノコ類
ハーブ&スパイス、チーズ
ハーブとチーズの画像
  • フレッシュハーブ
  • ドライハーブ
  • ソフトタイプのチーズ

まとめ

有名なブドウなのに、カベルネ・ソーヴィニヨンの陰に隠れて中々これといったイメージをもたれていないブドウでした。
そのためか、メルローに適さない場所や適さない作り方のワインも多く出回っており、意外と良いワインが少ないような気もします。

勿論フルーティでソフトな親しみやすさは魅力の一つですが、ある程度しっかりと味の詰まったものでないとメルローのリッチな滑らかさは感じられません。
是非、2~3,000円以上のワインでその魅力を試してみてください。