ソムリエがおすすめするワインのサービスまとめ

ソムリエが選ぶ!イタリアワインおすすめ3選、産地や品種の特徴と格付けワインも紹介

イタリアの図解

独特のクセのある地ブドウが多数存在し、また、カベルネ・ソーヴィニヨンのような国際品種でも成功し、コスパがよく飲みやすいテーブルワインから超高級なカルトワインまで揃う、何でもありの国。
それがイタリアです。

だからこそ難しく、だからこそ多くのワインファンを虜にし続けています。

その多様性の秘密は、縦に長く真ん中をアペニン山脈が貫く地理的な理由に加えて、「イタリア」という統一国家ができてから間もないことが挙げられます。

そういう意味では、「イタリア」という国のくくりを一度忘れることが、イタリアワインと仲良くなるコツかも知れません。

こちらの記事ではイタリアを3つに分けて解説していきます。

  1. フランスやハプスブルク家の影響が強い北イタリア
  2. 有名なトスカーナ州のある中部イタリア
  3. 小麦やオリーブの一大産地南イタリア

どれもこれもが個性的で楽しい産地です、難しく考えず楽しんでいきましょう。

【ソムリエが選ぶ】イタリアワインおすすめ3選

スーパー・タスカンの先駆け「フォントディ キァンティ・クラッシコD.O.C.G.」

品種サンジョヴェーゼ
産地イタリア
トスカーナ
キャンティ・クラッシコ
価格帯3,500〜7,000円

キアンティ・クラッシコ地区の中心、パンツァーノ・イン・キアンティに拠点を構えるキアンティ・クラッシコの代表格、フォントディ。
白ブドウを混ぜないとキアンティ・クラッシコD.O.C.G.を名乗れない規定を無視し、トスカーナの魂サンジョヴェーゼのみでワインを作った、スーパー・タスカンの先駆けでもあります。
現在は後追いで、ブドウを混ぜなくてもD.O.C.G.が名乗れるように規定が改正されています。

何度でも飲みたくなる「プロデュットーリ・デル・バルバレスコ バルバレスコD.O.C.G.」

品種ネッビオーロ
産地ピエモンテ
価格帯3,500〜7,000円

イタリアの高級ワインと言えば「バローロ」や「バルバレスコ」。
ブルゴーニュとも比較されるような場所で、華やかさと厳格さを併せ持った赤ワインが出来る土地です。

その魅力を知るのに丁度良いのが、プロデュットーリ・デル・バルバレスコという協同組合が造るスタンダードな「バルバレスコD.O.C.G.」。
親しみやすく、奥深い、何度でも飲みたいバルバレスコです。

誇り高きソアーヴェの神髄「アンセルミ サン・ヴィンチェンツォ ヴェネトI.G.T.」

品種ガルガーネガ70%
シャルドネ+ソーヴィニヨン・ブラン30%
産地イタリア、ヴェネト州
価格帯2,000〜4,000円

こちらは本来「ソアーヴェD.O.C.G.」という格付けの代表選手であるはずのワイン。
格付けは、広域エリアしか名乗れない「ヴェネトI.G.T.」です。
お察しの通り、格付けの規定に満足できず、名乗らずにワインを作っているのです。
誇り高いソアーヴェの神髄です。

イタリアの主なワインの生産地と地方

では、イタリアワインのおもな産地を見ていきましょう。

イタリアの写真

イタリアは縦に長く地中海に足を突き出した形になっており、北と南では環境が大きく異なります。

  • 山岳地帯や丘陵地が多く、すっきりした白ワインやタイトな赤ワインも出来る北
  • 完熟したジューシーな果実味の南

と分けることもできます。

それに加えイタリアワインに影響を与えているのが、国土のど真ん中を縦に走っているアペニン山脈です。

細長いイタリアの真ん中に大きな山脈があるので、地形も「山か海か」の極端なエリアが多く、個性豊かなワインが出来る理由の一つになっています。

高級銘柄から地ブドウまで揃う「北イタリア」

北イタリアの州の図解

北イタリアは陸続きで他国と接しており、ワインの味もドイツっぽい、フランスっぽい、スロヴェニアっぽいといったイメージが強いです。

白ならリースリングゲヴュルツトラミネール、赤ならネッビオーロが有名ですね。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

北イタリアを示すイラストピエモンテ、ロンバルディア、ヴェネトなど北イタリアのワインの特徴とおすすめワイン3選

山と海の影響を受けて様々な味わいを生み出す「中部イタリア」

中部イタリアの図解

中部イタリアは国を代表する黒ブドウ「サンジョヴェーゼ」の一大産地です。

赤はサンジョヴェーゼに加えモンテプルチアーノやカベルネ・ソーヴィニヨンメルロー

白はトレッビアーノ、ヴェルディッキオが主な品種です。

詳しくはこちらをご覧ください。

中部イタリアを示すイラストトスカーナ、マルケ、ラツィオ、アブルッツォ州などの中部イタリアのワインの特徴とおすすめワイン3選

歴史的なワインの産地「南イタリア」

南イタリアの図解

南イタリアはパスタやトマトなど一般的な「イタリアらしさ」に最も近い場所ではないでしょうか。

「タウラージD.O.C.G.」や「アリアニコ・デル・ヴルトゥレD.O.C.」など、偉大なワインが存在します。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

南イタリアを示すイラストカンパーニア、バジリカータ、プーリア、シチリア島など南イタリアワインの特徴とおすすめワイン

イタリアワインの主なブドウの品種

イタリア全土でよく目にする品種は、下記の通りです。

赤ワイン
白ワイン

とはいえ、見たことも聞いたこともないブドウ品種と出会うことがこれから何度もあるでしょう。
イタリアには数千種類の土着品種があると言われています。

プロのソムリエでも覚えきれないものを、無理に覚える必要は全くありません。
むしろ、新しい品種との出会いを楽しめるかどうかが、イタリアワインと仲良くなれるかどうかの境目になります。

イタリアワインの格付けは4段階

ワインの格付けは、ざっくりと4段階のピラミッド構造になっています。

1.頂点の「D.O.C.G.」

格付けの頂点。
生産範囲についても、生産方法についても、一番厳しい規定が定められています。

有名なところでは「バローロD.O.C.G.」や「キアンティD.O.C.G.」など。

ANTINORI (アンティノリ)
¥5,998 (2024/12/05 12:07:39時点 Amazon調べ-詳細)

2.十分高級な「D.O.C.」

次に厳しい規定のある格付けです。

有名なところだと「ボルゲリD.O.C.」や「エスト!エスト!!エスト!!!D.O.C.」。

3.自由度の高い「I.G.T..」

1~3までが特定の産地を名乗ることができます。

I.G.T..は「トスカーナI.G.T..」など、1~2より広い範囲の産地しか名乗ることができませんが、その分ワイン造りに関する規定は緩く、自由度も高くなります。

4.テーブルワインに「V.d.T.」

「ヴィーノ・ダ・ターヴォラ」、すなわちテーブルワインで、特定の産地を名乗ることはできません。
日本に輸入されているもののほとんどが、1~3になります。

この格付け制度は本来、特定の産地の名産を守り育てていくことを目的としたもの。

いくら「キアンティ」が美味しいからと言って、違う場所・違う品種で「キアンティ」と名乗ってしまうと、全然違うワインが出来てしまいます。
また、きちんとキアンティ地区で作っていても、質より量をとった極端な作り方をしてしまうと、やはり「キアンティ」という名前の信頼を落としてしまうことになります。

そういったことを防ぐための格付け制度なのです。

なので、格付け内での品質はある程度保証されていますし(あくまでもある程度ですが)、味の傾向もある程度は同じ方向を向いています。

I.G.T..は味の参考にするには範囲が広すぎますが、好みのD.O.C.GやD.O.C.があれば同じ格付けのものを試してみるのもおススメです。

格付けが低くても品質の高いワインは非常に多い

格付けが厳しいD.O.C.G.の方がD.O.C.よりも美味しくて、D.O.C.の方がI.G.T..より美味しいんだ、と考えてしまいそうですが…

そうではないのがイタリアの面白いところ!

格付けの規定にとらわれず、素晴らしいワインを作ろうとする人たちも沢山います。
その場合、出来たワインはI.G.T..であったり、特定の産地を名乗れないただのV.d.Tであったりします。

有名な例が以下のサッシカイアのように「スーパー・タスカン」と呼ばれる一連のワインたちです。

以前、「キアンティD.O.C.G.」を名乗るためには、赤ワインに白ワインをブレンドしなくてはいけないという規定がありました。

これを悪しき伝統として反発し、キアンティ地区の伝統品種であるサンジョヴェーゼだけで素晴らしいワインを作り上げた人たちがいたのです。

勿論規定を無視したワインなので、「キアンティD.O.C.G.」よりはるかに広域の「トスカーナI.G.T..」としか名乗れません。
しかし、品質は超一級。

トスカーナ州で、格付けにとらわれず生み出された素晴らしいワインたちに敬意を表した呼び名が「スーパー・タスカン」なのです。

格付けを名乗っている方が良いワインだとは限らない。
そういうと難しく面倒臭そうですが、これも権威に媚びず自由を愛するイタリア気質。

肩書にとらわれず、自由にワインと接することのできる、楽しい国なのです。

まとめ

イタリアワインと仲良くなるコツは、知らないものとの出会いを楽しむこと。
それさえできれば、イタリアは一生楽しめる、なくてはならないワイン産地になるはずです。

フランスやオーストリアの影響も出てくる北イタリアや、アフリカにも近づく南イタリア…
縦に長いイタリアは、どこをとっても個性的です。

地方の違いを楽しみながら味わいましょう!