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ドイツワイン特徴とおすすめワイン3選|格付けは甘口なほど高級

ドイツの様子を表すアイキャッチ画像

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北緯50度のラインに位置し、ブドウ栽培の北限といわれてきたドイツは、今再び注目のワイン産地として脚光を浴びています。

キーワードは『冷涼地』と『辛口』。

冷涼な気候のドイツでは、軽やかで繊細なタッチのワインが出来ます。

より軽く、素材を活かしたスタイルになった現代の食を支えるワインとして活躍の場が広がっているのです。

また、高貴な甘口ワインで真価を発揮していたドイツワインですが、近年は若手生産者たちによる高品質な辛口ワインが流行。

マリアージュを意識し、より食中に楽しめるものを目指し、目覚しい進歩を遂げています。

また、ブドウのアロマを活かし、土地の味にフォーカスした近年のドイツワインは、素材の微妙なニュアンスを殺さず同調するような味わいを見せてくれます。

ブドウ栽培の北限で作られるドイツのワインは、その厳しい環境ゆえに風土を鮮明に映し出し、私たちはそのテロワールやヴィンテージを読み取ることが出来るのです。

かつてのイメージにとらわれず、真に実力を発揮し始めたドイツ。

今がまさに、ドイツワイン再考の時です。

白ワインの主な生産地|川沿いの断崖絶壁、世界最高峰のリースリング

ドイツの白ぶどう畑の写真

モーゼル、ミッテルライン、ラインガウ、ナーエ・・・

川沿いの急斜面にはドイツ最高峰のブドウ畑が連なります。

このエリアはなんといってもリースリングが最上ですね。

モーゼル、ナーエ、ラインガウの図解

最上級のワインを生み出す「モーゼル地方」

リースリングと切り離せない存在のモーゼル地方。

ライン川沿いの斜面のほとんどが最上級のワインを生み出す、なんとも素晴らしいワイン産地です。

山を縫って蛇行するモーゼル川とスレート土壌は熱をため、ブドウの安定した成長を促し、更に太陽光を反射して香り成分の蓄積を助けます。

そのため、モーゼル地方のリースリングは煌くような酸味と高い香りを持つことになります。

有名な畑はゾンネンウアー、ドクトール、ヒンメルライヒ、ヴュルツガルテン、そして支流のザール川沿いにあるシャルツホーフベルク。

後述するように、ドイツには果汁糖度の格付けがあり、収穫時点での糖度が高いものほど高級とされています。

しかし、これらの畑から出来たワインは糖度格付けに関わらず一貫して高い品質を誇ります。

芯のハッキリした味わいの「ナーエ地方」

もう一つ忘れてはならないのはナーエ地方。

モーゼル川とライン川の中間にあるナーエ川も、ドイツ最高峰のリースリングを生み出します。

代表的な生産者として、ヘルマン・デンホフのワインをおススメします。

ナーエ最高峰の畑を殆ど所有し、どれもこれもが文句の付け所のないリースリング。

ナーエはモーゼルに比べ、味わいの芯がはっきりと感じられることが多いです。

温暖な気候の「ラインガウ」

そしてラインガウ。

タウヌス山脈が冷たい風を防ぎ、オリーブやアプリコットが育つ実は温暖な気候が、厚い果実味のリースリングを生み出します。

また、ラインガウでは畑の9割をリースリングが占める一大産地。

ゲオルグ・ブロイヤーやシュロス・フォルラーツを筆頭に、畑の個性を表現した辛口リースリングが存在感を増しつつあります。

赤ワインの主な生産地|骨格を備えたシュペートブルグンダー

ドイツの黒ぶどう畑の写真

ドイツを代表する白ワインがリースリングであれば、赤ワインを代表するのはピノ・ノワール

ドイツではシュペートブルグンダーという名前で呼ばれています。

シュペートブルグンダーの産地として有名なのは、フランスとの国境沿いにあるファルツ地方やバーデン地方。

どちらも温暖で日照量豊富でしっかりとした骨格を備えたワインが出来ます。

とはいえ世界的に見れば冷涼な産地で、しっかり輪郭を引き締める酸味とカチッとブレのない舌触りが、シュペートブルグンダーのクールな一面を現しています。

ファルツ、バーデンの図解

ピュアでクリアな果実味「ファルツ地方」

ファルツ地方は、フランス・アルザス地方を貫くヴォージュ山脈から続くハート山脈の東側に位置します。

まさにフランスと地続きの場所にあり、実際に畑の一部をアルザス地方に持っている生産者も複数存在し、ピュアでクリアな果実味と縦に伸びる香りはどちらにも共通して見られる特徴です。

骨太なワインが多い「バーデン地方」

バーデン地方はライン川を挟んでアルザスの東隣にあります。

カジノと温泉の町として有名なバーデン=バーデンがある地域で、こちらもドイツにしては比較的温暖。

ベルンハルト・フーバーのワインに代表されるような、骨太でアーシー、堂々たるシュペートブルグンダーが生まれるエリアです。

また、同じブルグンダー系のヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)やグラウブルグンダー(ピノ・グリ)、ブルゴーニュ系のシャルドネからも、説得力のあるワインが作られています。

どちらもブルゴーニュのようにピンと張り詰めた緊張感を持ち、どこか土臭く武骨な迫力を備えたシュペートブルグンダーを生み出します。

ドイツの主なブドウ品種

白ブドウは生産量が多い順に、以下のとおりです。

白ぶどうの主な品種

 

リースリングがトップにくることは当然といえば当然。

ドイツはリースリングの教科書的産地ですので、是非試してみることをおススメします。

2番目に多いミュラー・トゥルガウは交配品種。

リースリングとマドレーヌ・ロイアルという品種を掛け合わせて作られました。

ブドウ栽培の北限といわれるドイツの環境でも育ちやすいようにできています。

ドイツ語圏の北イタリア、トレンテイーノ=アルト・アディジェ地区でも質の良いものが多く作られています。

黒ブドウでは、以下のとおり。

黒ぶどうの主な品種

 

  • シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール
  • ドルンフェルダー
  • ポルトギーザー

シュペートブルグンダーは前述のとおり、ドイツの誇る赤ワイン。

非常に質が高く、また、これからますます良いものが増えてくるだろうと期待されています。

ドルンフェルダーはドイツでは多い交配品種。

これだけ交配品種が沢山生まれているのは、寒く厳しい栽培環境にあるドイツならではです。

ふっくらと柔らかい果実味の素朴なワインになります。

半甘も赤ワインに仕上げられることも多く、たまに重宝することも。

三番目のポルトギーザーも素朴なデイリーワイン用の品種。

クロアチアやハンガリーなどでも栽培されています。

格付けは果汁糖度の品質基準と原産地呼称の2つ

ドイツワインを勉強するときの大きな壁が、この格付け制度です。とてもややこしい。

「果汁糖度を基準とした品質格付け」と、「AOCやDOCのような原産地呼称制度」が共存しているからです。

原産地呼称はフランスイタリアと基本的に同じです。

  • 産地を名乗れるもの
  • 産地を名乗れない「ドイチャーワイン」

にざっくり分けられます。

産地を名乗れるワイン
  • 更に地域名を名乗る「ラントワイン」
  • 限定生産地域を名乗る「クヴァリテーツヴァインQ.b.A.」
  • より限定された地区名を名乗る「プレディカーツワイン」

産地を名乗れるものはこのようにピラミッド状の格付け体系に従います。

ここから、ドイツ独特の果汁糖度が出てきます。

プレディカーツワインは6段階に分けられる

地域的表示付きワイン「プレディカーツワイン」が、さらに果汁糖度によって6段階に区別されていきます。

この「果汁糖度」は、ブドウを収穫した時点での糖度なので、ワインの甘辛を決めるわけではありませんが、やはり果汁糖度が高い格付けのものは甘口であることが多いです。

この6段階を、糖度が低い→高い方へ並べると次のようになります。

格付け(糖度が低い順)
  1. カビネット
  2. シュペトレーゼ
  3. アウスレーゼ
  4. ベーレンアウスレーゼ(貴腐ブドウまたは遅摘みブドウ使用)
  5. アイスヴァイン(凍結したブドウを収穫、使用)
  6. 【最高級】トロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ブドウ使用)

収穫時の糖度の規定は、地域により異なります。

また、④~⑥では貴腐や凍結した特殊な状態のブドウを用います。

貴腐は貴腐菌という有益な菌によって水分が蒸発、凍結ブドウは糖度の低い水分が凍ることによって、ブドウを凝縮させるのです。

下のラベルはシュペトレーゼのワインのラベルですね。

シュペートレーゼのラベルの画像

V.D.P.(ドイツ高級ワイン生産者連盟)の格付け

こちらはドイツの法律で決まっている格付けではなく、有志の生産者で運営している格付け制度。

非常に強い影響力を持ち、隣国オーストリアではV.D.P.を参考にした動きも出てきています。

こちらは非常に明快で、ブルゴーニュのプルミエクリュ、グランクリュのようなものとイメージしていただけると近いと思います。

  • グローセ・ラーゲ(ブルゴーニュのグランクリュ)
  • エアステ・ラーゲ(ブルゴーニュのプルミエクリュ)
  • オルツヴァイン(ブルゴーニュのヴィラージュ)
  • グーツヴァイン(醸造所名入りワイン)

それぞれには収量制限もあり、かなり信頼のできる格付けになっています。

【ソムリエが選ぶ】おすすめのドイツワイン3選

ドイツのおすすめワインを紹介します。

圧巻の辛口リースリング「ゲオルグ・ブロイヤー ソヴァージュ リースリング」

V.D.P.の中核として、テロワール重視の辛口リースリングを推し進めるゲオルグ・ブロイヤー。

現在のドイツワインを語るうえで避けては通れない生産者です。

このソヴァージュはブロイヤーが本拠を構えるラインガウ地方のブドウをブレンドした広域のベーシック・レンジで、この上に、村名クラスや特級クラスのワインがあります。

ガッシリとした酸味や硬質な舌触りの奥から味わいが迫ってくる、圧巻のリースリング。

モーゼルを代表する素晴らしい1本「ヨハン・ヨーゼフ・プリュム ヴェレーナー・ゾンネンウーア アウスレーゼ」

本来なら真っ先に紹介されるべき、モーゼルの大御所。

今回は価格と現代ドイツワインの流れからブロイヤーを先に出してしまいましたが、順番と品質には何の関係もありません。

ゾンネンウーアというモーゼルを代表する畑の素晴らしいワインです。

10年ほど熟成させると、モーゼルならではの不思議に穏やかな味わいに。

2007年のものがまだ手に入るはずです。

シュペートブルグンダーならこれ「ベルンハルト・フーバー マルターティンガー シュペートブルグンダー」

バーデン地方のシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)といえば必ず名前が挙がる、フーバーの村名クラスです。

元々このマルターティンゲン村には13世紀からピノ・ノワールが植わっていたそう。

酸化鉄を含む赤い石灰岩土壌など、ピノ・ノワールには非常に適した環境でしたが、それをここまで花開かせたのはフーバーです。

どっしりと地に足をつけた安定感、隣のアルザスブルゴーニュだけでなく、NZのピノ・ノワールも連想させるような、力強さのあるピノ。

まとめ

あまりドイツワインに親しまない方なら、ドイツには甘口ワインのイメージしか持たないでしょう。

しかも、その際に頭に浮かべているのは安い黒猫ラベルの「シュヴァルツ・カッツ」や聖母ラベルの「リープフラウミルヒ」かも知れません。

現在のドイツは非常に多様です。

テロワールを映し出した辛口のリースリングや、堂々たる体躯のシュペートブルグンダー、ドイツワインの至宝ともいえる甘口ワインの数々。

再び世界の注目を集めるに足る理由があるのです。

馴染みのない方はV.D.P.加盟生産者の辛口ワインから入ってみることもおススメです。