エーゲ海に浮かぶ美しい島、サントリーニ島。
眩しい太陽に照らされたブルー&ホワイトのコントラストを持つギリシャの小さな島には、世界中のソムリエが求める特別な白ワインがありました。
この島のワインに独特の酸味は、鍛え上げられた鋼のように鋭く厚く、海風を思わせる塩みを伴った後味は、ミネラルの塊としか言いようがありません。
他を寄せつけない鋭い味わいは、しかしながら恐ろしいほどの美しさをもってワインファンを魅了します。
ようやく日本でも味わえるようになったギリシャワイン。
探してでも飲む価値がある、ギリシャワインファン必見の一本をご紹介します!
パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
香り・味の特徴
色味は輝きのあるイエロー~ゴールド。
グラスに注いですぐは控えめな香立ちで、ライムやオレンジの柑橘系の香りと、リンゴの瑞々しい雰囲気、そして硬水のようなミネラル感が全体を覆います。
口に含むとしっかりとした分厚い酸味があり、ジューシーなリンゴ、ナッツ、オーク樽のバニラの雰囲気を感じることができます。
舌の奥の方で塩苦みを感じ、余韻へ。
酸とミネラルによるがっしりとしたボディがあるにも関わらず、全体の印象としては非常に上品。
樽の使い方もブルゴーニュを思わせるような上品なタッチとなっており、ワイン単体での完成度の高さを感じます。
特殊な島の特殊な味
世界には様々なブドウ畑がありますが、サントリーニ島の畑はとりわけ特殊な環境です。
溶岩がゴロゴロ落ちている火山性の土壌、降り注ぐ地中海の強い日差し、ブドウの木が倒れるほどの強風・・・
その過酷な環境は、ヨーロッパのブドウを絶滅寸前にまで追いやった害虫、フィロキセラも生息できないほどで、サントリーニ島はフィロキセラフリーの土地として知られています。
また、強烈な風から実を守るため、ブドウは低くグルグルと輪を描き、さながらクリスマスリースのように仕立てられます。
こんな仕立て方の畑は世界でもほとんど存在しません。
それだけ特殊な環境で育てられたブドウの収量は平均10hl/haという驚異の低さ。
ブルゴーニュのグランクリュクラスですら低くて30hl/ha程度ですから、これはもう異常です。
そして極めつけは、サントリーニ島の固有品種、アシルティコの存在です。
糖度が上がりやすいため、アルコール度数が高めのワインになる傾向がある一方で、どれだけ熟しても酸が落ちないという、これまた独特の特徴を持っています。
アルコールからくる厚いボディと鋭い酸、これは中々珍しい組み合わせです。
栽培も大変、扱いも難しいブドウですが、その分上手く作られたワインは唯一無二の味わいに。
ドメーヌ・シガラスの持つ美しさと恐ろしさの二面性、研ぎ澄まされた緊張感はこのような特殊な環境から生まれるのです。
世界のソムリエが求める時代に
この独自性と圧倒的な完成度から、ドメーヌ・シガラスのワインは今や世界のソムリエがこぞってオンリストするようになりました。
生産量も少なく、富裕層のリゾート客がギリシャで飲んでくれるので海外にはあまり輸出されず、かつては知る人ぞ知るワインだったのですが、ワインシーンを牽引するニューヨークやロンドンのソムリエがこれを見出し、一気にブームに火が付いたのです。
生産量も限られる中で、日本にもこのワインが輸入されているのは僥倖ともいうべき状態。
ワインといえばフランスとイタリアだった時代に比べ、現在はなんと恵まれているのだろうかと思わずにはいられません。
世界でもここだけの、唯一無二の存在。
絶対に見逃さないでほしい一本です。
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