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アメリカワインの産地ごとの特徴とおすすめワイン3選

アメリカのイラスト

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フランスイタリアと並んで今や異論の余地のないワイン銘醸地となったアメリカ。

それを象徴するのが、有名な「パリスの審判」です。

1976年にイギリス人ワイン商によって主催されたフランスV.S.アメリカのブラインド・テイスティングで、赤白共にアメリカが1位になった出来事のことで、既に伝説として語り継がれています。

畑や醸造次第ではフランスにも勝るワインが作れるのだ、ということは、当時は非常に衝撃的でした。

長いワインの伝統があるヨーロッパ諸国に対し、アメリカやチリなど大航海時代以降にワイン作りが持ち込まれた国々を、ワインの世界ではニューワールドと呼びます。

パリスの審判以降、アメリカは先陣に立って「新しい世界」を切り開き続けてきたのです。

こちらの記事ではそんなアメリカ合衆国のワインを紹介します。

アメリカの主なワインの産地

ワインの90%を生産している「カリフォルニア州」

カリフォルニア州は、アメリカのワインの90%を生産している巨大な産地です。
カルトワインと呼ばれるような超高級なものから、日本でも千円以下で買える安ワインまでが揃います。

太平洋には寒流が流れているので、海岸沿いは涼しく、内陸は暑く乾燥しているというのが基本。
そこに絡む要素として、海岸沿いに連なる海岸山脈があり、これによって海沿いの涼しい空気がブロックされたり流れ込んだりと不規則な動きを見せます。

また、流れ込んだ冷たい空気は、朝晩の霧を生み出します。
畑がこの霧より高いところにあるのか、低いところにあるのかも、日照量や昼夜の温度差に繋がるので、収穫されるブドウの特徴にも違いが現れます。

カリフォルニアの畑は、「海の冷たい空気が届くか届かないか」、そして「山の斜面高くか、谷間の平地か」によって様々な表情を見せるのです。

だからといってブルゴーニュのように、畑ごとの細かな違いが鮮明に映し出されているわけでは必ずしもないのですが、アメリカのワインメーカーたちはこういった細かな条件の中から、自分が欲しい味わいに繋がるブドウ畑を選んでいるわけです。

カリフォルニアにはナパやソノマなど有名産地が並ぶので、少し細かく見ていきましょう。

名だたる名産地が並ぶ「ナパ・カウンティ」

ナパ・カウンティはカリフォルニア州の北側にあります。

西のマヤカマス山脈、東のヴァカ山脈、北のセント・ヘレナ山と三方を山に囲まれていますが、南はサン・パブロ湾に面しており、ここから海の涼しい空気が入り込んできます。

そのため、サン・パブロ湾に近いカーネロスAVAやクームズヴィルAVA、オークノール・ディストリクトAVAはナパの中でも比較的冷涼な地域でシャルドネピノ・ノワールが育ちます。

湾から離れ、山に囲まれた中央部の平野はヴァレー・フロアと呼ばれ暖かく、完熟した堂々たるカベルネ・ソーヴィニヨンメルローが作られています。

ザラついた存在感のあるカベルネを生むラザフォードAVA、ナパの立役者ロバート・モンダヴィがあるオークヴィルAVA、パリスの審判でその名を轟かせたスタッグス・リープ・ワインセラーズがあるスタッグス・リープ・ディストリクトAVAと、名だたる名産地が並びます。

近年は中央部の平地よりも山間の斜面の高い場所に畑を求める流れにあるようです。
標高が高く、午前中かかる霧よりも上の畑になると、冷涼でありながら豊富な日照量が得られ、緊張感のある逞しい味わいとなります。

綺麗な酸味が良い「ソノマ・カウンティ」

ソノマ・カウンティはナパの西側、太平洋沿いでナパより涼しい気候です。

ただ、寒流の涼しい空気をそのまま利用できるかというとそうではなく、海岸山脈がソノマと海の間に立ちはだかっています。
この切れ目(=ペタルマ・ギャップと呼ばれます)やサン・パブロ湾から迂回してくる涼しい空気が重要。

ペタルマ・ギャップに程近い、ロシアン・リヴァー・ヴァレーAVA、グリーン・ヴァレーAVAや、南のサン・パブロ湾に近いカーネロスAVAは冷涼な気候を享受して綺麗な酸味が残り、特にシャルドネが有名です。

内陸に流れ込んだ空気は、途中で南に折れるため、ロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAより北側には影響を殆ど与えません。
ナパとソノマを隔てるマヤカマス山脈にも近いアレキサンダー・ヴァレーAVA、ナイツ・ヴァレーAVA、ドライ・クリーク・ヴァレーAVAは温暖、高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンジンファンデルで知られています。

涼しい気候の「メンドシーノ」

ソノマを北に上がると、メンドシーノ・カウンティがあります。
ここはカリフォルニアの最北地で、特に沿岸部は非常に涼しい気候になっています。

アンダーソン・ヴァレーAVAはカリフォルニアで最も冷涼な地域の一つになっており、ピノ・ノワールシャルドネの他、リースリングも作られています。
シャンパーニュのルイ・ロデレールがカリフォルニアに進出した際に選んだが、ここアンダーソン・ヴァレーの畑だったということからも、その冷涼さが伺えます。

高所の畑が特徴の「サンタ・クルーズ・マウンテンズ」

ナパやソノマからサン・パブロ湾よりも南に下ると、サンタ・クルーズ・マウンテンズAVAがあります。
サンタ・クルーズ山脈の高所に畑があり、霧がかかるラインよりも高い日照量豊富な場所が重要視されています。
カベルネ・ソーヴィニヨンジンファンデルの他、ピノ・ノワールシャルドネも育てられています。

冷たい空気が豊富な「モントレー」

モントレーAVAは丁度カリフォルニア沿岸部の真ん中当たりに位置します。
他のエリアと違い、海からの影響をブロックする丘陵地が無いため、冷たい空気をたっぷりと受け取ることが出来ます。

冷涼地域の例に漏れず、シャルドネピノ・ノワールが育ち、カベルネ・ソーヴィニヨンシラーも成果を上げています。

大量の霧が発生しやすい「サンタ・バーバラ・カウンティ」

更に沿岸部を下っていくと、海岸線が東に曲がるエリアに行き着きます。
ここがサンタ・バーバラ・カウンティ。

西側に加えて南側も海に向かって開けているため、寒流の冷たい空気が多く入り込み、大量の霧が発生します。

ここの北エリア、サンタ・マリア・ヴァレーAVAでは、カリフォルニアを代表するブルゴーニュスタイルの作り手、オー・ボン・クリマが居を構えています。

広大なブドウ栽培地「セントラル・ヴァレー」

カリフォルニア中央の内陸部、セントラルヴァレーは非常に広大なブドウ栽培地。
安定した気候で、ブドウに限らず様々な農産物を生む、大農業地帯です。

カリフォルニア州でも最大の生産量を誇る場所で、原産地が「カリフォルニア」とだけ記されているような低価格のワインは、このエリアで作られていることが多いです。

ブルゴーニュスタイルのワインが多い「オレゴン州」

カリフォルニア州から海岸沿いに北に上がると、オレゴン州があります。

同様に、海岸山脈ごしに寒流の冷涼な影響を受ける場所で、特にウィラメット・ヴァレーAVAなどはブルゴーニュスタイルの綺麗なワインが多く作られています。

また、北部をコロンビア川が東西に流れており、川沿いの内陸部にも山地が広がっています。
こちらは川を挟んで北側のワシントン州と共有するAVAで、基本的にはワシントン州のサブ的な立ち居地になります。

小規模だが高品質「ウィラメット・ヴァレー」

ポートランドも近く、小規模のクラフト的な作り手も多い産地です。
オレゴン州の中でも特に冷涼な気候で、優れたピノ・ノワールシャルドネを多く生み出しています。

多様な土壌や複雑な気象条件をもつ産地でもあり、サブ・リージョンとして細かくAVAが定められています。
ジョリー・ロームと呼ばれる赤い火山性土壌、ウィラケンジーという海底の堆積土壌、ローレルウッドというシルトやレスの土壌があり、土壌ごとにピノノワールを作り分けている生産者も。

サブリージョンは細かく、ダンディー・ヒルズAVA、シェヘイラム・マウンテンズAVA、ヤムヒル・カールトン・ディストリクトAVA、リボン・リッジAVA、エオラ・アミティ・ヒルズAVAがあります。

オレゴン州ピノ・ノワールの父とも言われるアイリー・ヴィンヤーズはダンディー・ヒルズAVAに居を構えています。

ウィラメット・ヴァレーのピノ・ノワールは、淡い色調とゆったりと控えめに現れる香りと裏腹に、口にするとしっかりとした構造があり、やや玄人好みの知的なものが多い印象。
安いものはあまりありませんが、品質は非常に高いものばかりです。

「サザンオレゴン」

こちらはオレゴン州南部に位置し、ウィラメット・ヴァレーよりも乾燥して温暖。
標高の高い場所ではピノ・ノワールピノ・グリ、暖かいエリアはカベルネ・ソーヴィニヨンメルローなどでも成功しています。

これからの可能性を秘める「ワシントン州」

ワシントン州のワインカスケード山脈より東側の、乾燥した内陸部で作られています。
オレゴン州とはコロンビア川で分けられていますが、コロンビア・ヴァレーAVAやワラワラ・ヴァレーAVAの一部は川を越えてオレゴン州にまたがっています。

シラーカベルネ・ソーヴィニヨンメルローが主な栽培品種ですが、リースリングピノ・グリなど様々な品種が植えられ、可能性が探られています。

気候は夏は乾燥して暑く、冬は寒い大陸性気候。

ワラワラ・ヴァレーAVAのシラーやヤキマ・ヴァレーAVAのカベルネ・ソーヴィニヨンシラーが高く評価されています。

また、ピュージェット・サウンドAVAはワシントン州で唯一カスケード山脈より西側にある産地で、海からの影響を受ける冷涼な地域として知られています。

実はかなり栽培されている「ニューヨーク」

大都会ニューヨークは、実はアメリカで4番目に大きいワインの産地です。
ニューヨークの冬は厳しく、主なワイン産地は湖の近くや暖流の近くといった、寒さを和らげる要素のある場所に集まります。

カナダとの境目のオンタリオ湖に近いフィンガー・レイクスAVAではリースリングシャルドネなどの高質ワインが作られています。
カナダで作られた品種、ヴィダルを使った甘口ワインも高く評価されています。

ロング・アイランドAVAはマンハッタンから大西洋に突き出す半島にあり、暖流が流れる穏やかな海洋性気候でブドウが栽培されています。

メルローの評価が年々上がってきており、他にもシャルドネカベルネ・フランなどが主要の品種。

ニューヨークでは本来ワイン用の品種ではないヴィティス・ラブルスカ系のナイアガラなども育てられており、独特の良い香りがする甘口などに仕立てられています。

アメリカの主なブドウ品種

アメリカの主力品種は、ほとんどフランス系のものです。

エントリー・レンジや日常飲みのものは、ボリュームがありフルーティな香りが強く、時に甘味すら感じるようなインパクト勝負のものも多くありますが、高品質なものは香りの表現力が高く、本家フランスに負けないエレガンスをたたえています。

また、品種でも常に新しい可能性を求めており、リースリングシュナン・ブランサンジョヴェーゼ、バルベーラやグルナッシュからもワインが作られています。

格付けは特にない、産地区分けのみ

アメリカにはフランスのAOCのような格付けは無く、純粋に栽培条件によって産地を区分けしているAVA(American Viticultural Areas)というものがあります。

AVA同士の品質に関する上下関係は無く、グラン・クリュのような制度もありません。

AVAはアルコール・タバコ課税及び商業取引管理局(TTB)が管理しています。

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飲みがいのあるピノ「ジ・アイリー・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール ウィラメット・ヴァレーAVA」

オレゴン州ウィラメット・ヴァレーの開拓者、アイリー・ヴィンヤーズのピノ・ノワールです。
このワイナリーが無ければ、今のオレゴンピノは無かったかもしれません。
4か所の自社畑のピノをブレンドしたエントリー・レンジがこちら。

ゆっくりとした立ち上がりで段々と雄弁になっていく、飲みがいのある素晴らしいピノです。

全体的に上品な「グラマシー・セラーズ シラー ワラワラ・ヴァレーAVA」

ワシントン州のシラーの実力が良く分かる一本。
しっかりと凝縮した飲みごたえのある味の中にも、ピリッとした輪郭や全体を貫く酸味など、綺麗にまとまった上品な雰囲気が感じられます。
シラーの美しさが丁寧に描き出される良作。

フレッシュで活き活きとした「ブロック・セラーズ ヴァイン・スター ジンファンデル」

カリフォルニア州の都市型ワイナリー。
ニュー・カリフォルニアと呼ばれる生産者の内の一つで、これまでのカリフォルニアワインとは違った、フレッシュさや軽やかさを重視する新しい時代の体現者です。

濃くパワフルな味わいの代表格だったジンファンデルを使い、フレッシュで活き活きとした輝くような味わいを引き出している、驚きのワインです。

正直、典型的なカリフォルニアワインとは対照的なワインですが、常に古い時代を乗り越えて新しく前進していく姿は非常にアメリカらしく、今後重要な位置を占めるワイナリーだと思います。

まとめ

カリフォルニアワインだとかナパワインだとか、耳にすることの多いアメリカのワインですが、細かく見ていくとフランスに負けないくらい様々な畑があります。

流行に敏感な産地でもあるので、新しいスタイルや新しい品種も次々と試されていて、ある意味飲んでいて飽きることのない産地だと言えます。

最近はよりシャープな味わいを志向するニュー・カリフォルニアと呼ばれる一連のワインたちも現れ、今までになかった爽やかな風を吹かせています。

昔飲んだことがあって、、、という方も、改めて試してみる価値ありです。