爽やかさと力強さの共存、シルヴァーナーの特徴とおすすめワイン3選

当記事には広告が含まれる場合があります

白ワインのぶどうの品種
PR
シルヴァーナー – ひとことで!
  • 主な生産地はドイツとフランス・アルザス地方
  • ドイツ・フランケン地方では、ボックスボイテルという変わった形の瓶に詰められる
  • 外観-緑がかった明るいイエロー
  • 香り-青リンゴや洋ナシ、柑橘系などの酸味のある爽やかなフルーツの香り
  • 味わい-フルーティな果実味、しっかりした酸味とつるんとした舌触り
  • 天ぷらや寿司などの和食とも相性が良い

詳しくはこちらから

ドイツアルザスを中心に栽培されている白ブドウ品種、シルヴァーナー。
リースリングなどの香りの良いブドウ品種と栽培地域が重なっているため、どうしても目立たなくなってしまいますが、実は中々にポテンシャルの高いブドウです。

隠れたファンも多いシルヴァーナーの魅力を紹介します。

シルヴァーナーの特徴、外観、香り、味わい

シルヴァーナーの写真
画像参照元:Why Sylvaner Should Be Your New Summer Wine

中央ヨーロッパ原産と考えられている白ブドウ品種です。
DNA解析により、サヴァニャン=トラミナーとウストライヒッシュ・ヴァイスというブドウの子供だということが分かっています。

収穫量が多目の品種ではありますが、特別頑丈なわけではありません。
春先の霜害や、冬の寒波に弱く、ミュラー・トゥルガウなどよりは熟すのが遅いため、上手に栽培できる畑というのはある程度選ばないといけません。

それでも、20世紀初頭ごろはドイツで最も広く栽培されていた白ブドウ品種となっていたようです。

現在はドイツで5番目程度の栽培面積ですが、特にフランケン地方やラインヘッセン地方で活躍しています。

ドイツのお隣、フランスのアルザス地方でも栽培されており、基本はデイリーな軽いスタイルのワインに仕上げられますが、重い粘土の土壌を持つゾッツェンベルグという畑では例外的にグラン・クリュを名乗ることが出来ます。

ポテンシャルの低い畑で収量過多な栽培をすると、香りの特徴も強くなく、ニュートラルで、酸味が強いさっぱりとした味のワイン、というだけにとどまってしまいます。

しかしながら、アルザス・グラン・クリュの例でも分かるように、適した畑で高品質なワインを作るための栽培を行うと、アーシーでどっしりと重量感のある素晴らしい白ワインを生み出す品種なのです。

日本で見かけるワインの中では、アルザス地方やドイツのシルヴァーナーがほとんどですが、チェコなどでも広く栽培されているようです。

外観

緑がかった明るいイエロー。粘性は中程度。
甘口のものでは粘性が高くなり、黄色みが増す。

爽やかなフルーツの香り

基本は青リンゴや洋ナシのような、酸味のある爽やかなフルーツの香り。
ライムの皮など柑橘のニュアンスや、ハーバルなタッチを感じることもあります。

特徴的なのは、ソムリエ用語で「ミネラル感」と呼ばれる無機物的な香り。
質の高いシルヴァーナーからは、冷たい石や粘土、硬質のミネラルウォーターやチョークを連想するような「ミネラル感」が強く感じられます。

どっしりと腰の粘りがある味わい

白い花や洋梨を思わせるフルーティな果実味、しっかりした酸味とつるんとした舌触り。
爽やかで飲みやすいデイリーなスタイルに仕上げられる白ブドウ品種のなかでは、やや硬質な印象を受ける味わいです。

質のよいものは、どっしりと腰の粘りがある力強い味わいで、舌の上で心地よいほろ苦さを感じることもあります。
サラダや前菜だけでなく、豚肉やムニエルなど脂気のあるお料理と合わせたくなるようなパワーのある味わいに仕上がります。

シノニム

  • Sylvánské Zelené(チェコ)
  • Zeleni Silvanec(スロヴェニア)ジャーマン
  • グリーン・シルヴァーナー

シルヴァーナーの主な栽培地

味わいが密に詰まったドイツ

ドイツのイラスト

中世にはオーストリアから現ドイツ領にシルヴァーナーが持ち込まれ、栽培されていたと考えられています。

有名な産地はフランケン地方。
この地方のシルヴァーナーは、「ボックスボイテル」と呼ばれる特殊な形をしたボトルに詰められ、地域の名産品として扱われています。
白亜の石灰質土壌からは、リースリングのような華やかな芳香性は無くとも、味わいが密に詰まったアーシーなパワーを持つワインが生まれます。

また、決して優れたワインとはいえませんが、「聖母の乳」の意味を持つ「リープフラウミルヒ」という飲み安い半甘口ワインの原料にもなります。
これは、収量過多でシルヴァーナーの風味など微塵も無い仕上がりなのですが、気軽に飲めるアルコール飲料として現在でも根強い人気を持っています。

その他、ラインヘッセン地方、ファルツ地方、バーデン地方などでも栽培されています。

力強さが表に出ているフランス

フランスのイラスト

フランスはアルザス地方で栽培されています。
アルザス地方はドイツとの国境沿いに位置し、北はドイツのファルツ地方、東はバーデン地方と接しています。

この地で作られるシルヴァーナーは、ドイツのものよりややどっしりした力強さが表に出ているように思います。
低価格のブレンドワイン(=エデルツヴィッカー)やスパークリングのクレマン・ダルザスに用いられる他、シルヴァーナー単体で作られるワインも多く見かけます。

味わいは爽やかな香りと、存外に腰の据わった味わいがあり、チーズや肉の煮込みとあわせたくなるようなスタイルです。

粘土質や石灰質の土壌と相性が良く、アルザスで例外的にシルヴァーナーがグラン・クリュを名乗ることが出来る「ゾッツェンベルグ」の畑も重い土壌。
口に含んだ瞬間よりも、口の中で、飲み込んだ後の余韻で味わいが膨らむ、力強いグラン・クリュ・ワインです。

その他の国

原産地と考えられている中央ヨーロッパで活躍しています。
チェコ、ルーマニア、オーストリアなどの国々ですが、日本で見かけることは余りありません。

おすすめワイン3選

爽やかなフレーバーの「ヴァイングート・ヴァルデマー・ブラウン ノルデハイマー・フェーゲライン シルヴァーナー トロッケン」

ドイツ・シルヴァーナーの一大産地、フランケン地方のワイン。
フランケン地方のシルヴァーナーは、ボックスボイテルと呼ばれるぼてっとした円形のボトルに入っています。
青リンゴやナシの爽やかなフルーツ・フレーバーとしゅわっと酸味を感じる口当たり。
ですが、味わいはぐっと腰が据わり、食事とあわせてもぶれない意外な力強さがあることが分かります。
魚介、それもイカや甲殻類と一緒に楽しんでみたい、食事を連想させる秀逸なシルヴァーナー。

「ゲオルグ アルブレヒト シュナイダー シルヴァーナー アルテ レーベン」

「パターベルク」の畑の樹齢の古いシルヴァーナーで、発酵と熟成はステンレスタンクで行います。
樹齢の古い葡萄は収穫量が減りますが、集約のある葡萄を実らせます。

エルダーフラワーや野生のハーブを思わせるアロマ、ハチミツや花のフレイバーが広がり、深みのある長い余韻が感じられます。
ハーブのサラダやアスパラガス、パリッと皮目を焼いたソーセージなどと楽しみたいワイン。

どっしり感の強い味わいの「ファミーユ・ヒューゲル クラシック シルヴァーナー」

フランスはアルザス地方の老舗ヒューゲル。
黄色いラベルでなんとなく覚えている方も多いワインです。
シルヴァーナーの爽やかな香りはそのままに、ブドウの成熟期~収穫期に暑く乾燥するアルザス地方では、よりどっしり感の強い味わいが楽しめます。
同じ魚介や野菜でも、グラタンにしたり、豚肉と一緒に調理したり、コクがある味わいが似合います。

シルヴァーナーに合う料理・チーズ

比較的個性が控えめですが、繊細なアロマとスッキリした味わいのシルヴァーナーは、天ぷらや寿司などの和食と相性が良いです。また、骨格がしっかりした厚みのあるタイプは、豚肉やムニエルなど脂気のあるお料理にもおすすめです。

料理

  • チキンソテー
  • ハーブ入りソーセージ
  • 白身魚のムニエル
  • 天ぷら
  • お寿司
  • アスパラガスのソテー
  • 野菜炒め
  • 豆サラダ

チーズ

  • カマンベール
  • ラクレット

まとめ

シルヴァーナーは単体で大きく取り上げられることの少ないブドウ、しかもやや低品質の水っぽいワインになるブドウとして扱われることもある気の毒な存在です。
しかしながら、きちんと栽培されたシルヴァーナーのワインからは、ほかのブドウで感じることの出来ない、爽やかさと力強さの共存が見られます。

そのバランス感覚はどこか辛口の日本酒のようでもあり、私達日本人にとっても親しみやすい点があります。

ワインジャーナリストがシルヴァーナーを好きだったり、妙に玄人受けするところがあるのも面白い。

是非、日々の食卓にシルヴァーナーを取り入れてみてください。
きっとこの品種の見方が変わるはずです。

タイトルとURLをコピーしました