シャンパーニュ地方の縁の下の力持ちとも言うべきピノ・ムニエ。
細やかな香りと上品な酸味のシャルドネ、骨格と膨らみを与えるピノ・ノワールと並ぶシャンパーニュを形成する大切なブドウです。
ピノ・ムニエはふくよかな果実味や土の香りを加えてくれます。
シャルドネとピノ・ノワールを補助する存在として、ブレンド比率は高くありませんでしたが、近年ではピノ・ムニエ主体のシャンパーニュも現れています。
また、オーストラリアでこの品種からスティルワイン(発泡無しの通常のワイン)も作られており、活躍の幅が少しずつ広がっているところです。
パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
ピノ・ムニエの特徴
ピノ・ムニエはピノ・ノワールの親類にあたるブドウ。
早熟でシャンパーニュ地方のような涼しい場所でもきちんと熟すため、シャルドネやピノ・ノワールに適さない場所に植えられ、補助的な品種として使われています。
シャルドネ、ピノ・ノワールと並ぶシャンパーニュ地方の主要な品種の一つで、やさしい果実味が身上。
シャンパーニュ地方以外では余り見かけませんが、ロワール地方やドイツ、オーストラリアのヴィクトリア州など、冷涼な気候で栽培されています。
素直で、柔らかい果実の香り
イチゴやサクランボの香りを中心に、キノコやカカオ、腐葉土、枯葉の香りが比較的若い段階から感じられます。
シンプルで親しみやすい印象をもてます。
比較的早い段階から熟成のニュアンスが感じられ、キノコや枯れ葉、ナッツの香りが優しく加わります。
優しい味わい
口当たりの柔らかさ、優しさが特徴。
ピノ・ノワールのふくらみのある果実味とは異なり、ほろっと崩れるように優しい果実味が感じられます。
酸味がたつ軽い味わい。
渋みも穏やかで、温和な印象を受けます。
シノニム
ドイツではシュヴァルツリースリングと呼ばれます。(リースリングとは関係ありません)
おすすめのピノ・ムニエのワイン3選
シャンパンなら「ルアレ・デボルド・ブリュット A.O.C.シャンパーニュ」
ピノ・ムニエ主体に、30パーセントほどピノ・ノワールをブレンドしたシャンパーニュ。
果実の優しい膨らみ、ふわっとした舌触りで可愛らしいピノ・ムニエの良さが楽しめます。
優しい味わいの「ヘイトリンガー ピノ・ムニエ(シュヴァルツリースリング)」
品種 | ピノ・ムニエ |
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産地 | ドイツ バーデン クライシュガウ |
価格帯 | 3,000〜3,500円 |
ドイツのバーデン地方で作られるピノ・ムニエです。
ドイツではシュヴァルツリースリングと呼ばれ、ここではスティルワイン(泡無しの通常のワイン)に仕上げられます。
ふっくらほろほろと崩れるような優しい味わい。
肩肘張らずに楽しめるワインです。
長期熟成スパークリング「フリードリッヒ・ベッカー ピノ・ムニエ ゼクト 2004年」
品種 | ピノ・ムニエ |
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産地 | ドイツ ファルツ地方 |
価格帯 | 5,500〜6,500円 |
ピノ・ムニエ100%で作られ、長期熟成を経た面白いゼクト(=スパークリングワイン)。
ドイツのファルツ地方で育ちました。
しっかりと熟成し、アップルパイやナッツ、枯れ葉のニュアンスを感じるしっかりしたゼクトです。
ピノ・ムニエの主な生産地
本拠地はフランスシャンパーニュ地方
シャンパーニュ地方がこの品種の本拠地。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区を中心に、シャンパーニュ地方全土で栽培されています。
酸味と細やかなタッチのシャルドネ、骨格と膨らみのピノ・ノワールとあわせて、果実味とソフトさを与える品種としてブレンドされます。
早熟な特徴から、ほかの品種の補助としてややリスクヘッジ的な扱いを受けていますが、クリュッグなど超一流のメゾンがピノ・ムニエを多用することからも分かるように、決して劣った品種ではありません。
ただ、他の2品種に比べて価格は低いため、近年日本でも見られるような低価格シャンパーニュに多くブレンドされているようです。
こういったピノ・ムニエ主体のシャンパーニュを飲むと、ムニエの柔らかさや親しみやすさが良く分かり、しみじみホッとする素敵な特徴を楽しむことが出来ます。
同様に比較的冷涼なロワール地方でも栽培されており、A.O.C.オレルアンではピノ・ムニエ主体が規定されています。
日本では見たことがありませんが、価格も比較的安いはずなので、見つけたら是非手に入れることをおススメします。
ドイツではシュヴァルツリースリング
ドイツではシュヴァルツリースリングという別名で栽培されています。
半甘~辛口の飲みやすい味わいで、軽めの気軽なワインになります。
辛口なのが特徴の「オーストラリア」
また、様々な品種にトライするオーストラリアでも例外なく栽培されており、冷涼なヴィクトリア州で面白い辛口のスティルワインになっています。
比較的早めに熟成香が香り、キノコや枯葉を思わせる香りとカカオ、イチゴの香りが馴染み、柔らかな飲み口に奥深さが加わります。
シャンパーニュ地方を意識したスパークリングワインを作っているエリアではピノ・ムニエも一緒に植わっていることがありますが、ムニエ単体でスティルワインにされているものは余り多くありません。
ムニエの特徴をつかむ上で、とても面白いエリアです。
ピノ・ムニエに合う料理
- ローストチキン
- スモーク・サーモン
- マグロのお寿司
- キノコのクリーム煮
- チキングラタン
- シャウルスなど白カビ系
まとめ
とても優しい個性を持つピノ・ムニエ。
メインでワインになることは少ないですが、とても魅力的な品種です。
ムニエ主体のシャンパーニュは比較的お手頃なものが多いので、ちょっとしたタイミングで楽しむことも出来ます。
日々の暮らしに取り入れたい、素敵なブドウです。