イタリアが誇る白ワイン、ソアーヴェ。
その代表選手であるピエロパンは、ソアーヴェの伝統を重んじるあまり、あえてDOCG格付け表示を避けてワインを造り続けています。
水っぽく爽やかで飲みやすいイメージのソアーヴェ。
DOCG表記の中にも多々見られるこれは、しかしながら大量生産の粗雑なソアーヴェです。
ピエロパンが守り続ける本来のソアーヴェの味は、爽やかそうな外観の中に、どっしり絡みつくような骨太のミネラルが存在しています。
100年以上にわたってソアーヴェを作り続けてきたピエロパンだからこその味わいで、本来の力強いソアーヴェを発見してみてください!
パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
香り・味の特徴
やや淡いイエローの外観。
洋ナシや青リンゴに、ルッコラ、セージなどハーブの香りが加わり上品。
開けたてはやや煙たさも感じられ、硬水のようなカチンとした硬質の香りを感じます。
爽やかさのある香り立ちとは裏腹に、しっかりと凝縮した味わい。
厚みがきちんと感じられ、洋ナシの果実感の後からゴリゴリと旨みが迫ってきます。
酸味やほのかな渋みも舌の上にどっしりと落ち着き、味わい深い。
本来のソアーヴェ
ピエロパンのソアーヴェは、元々ソアーヴェを作っていた伝統ある中心地、クラシコ地区の畑から作られています。
ソアーヴェの味わいは本来、クラシコ地区の火山性土壌の丘陵地で作られるものだったのです。
しかしながら、ソアーヴェ人気の高まりから2000年代初頭に制度が新しくなり、より広い地域が「ソアーヴェ」を名乗れるようになりました。
本来のソアーヴェ地区には含まれていなかった平野部でソアーヴェが大量生産されるようになり、現在のフレッシュ&爽やかなイメージにつながっていったのです。
確かに、ソアーヴェの魅力の一つはそのみずみずしい果実感にあります。
しかしながら、そのみずみずしさを一層はかなく美しいものにしているのは、味わいの緊迫感や、口の奥にうねりながら迫ってくる骨太のミネラル感。
これが無ければ、ソアーヴェを飲んでいるという実感を得ることは出来ません。
こういった分厚い味わいは、火山性の土壌の丘陵地で適切に収量を抑えてこそ表現されるもの。
平地で大量に作ってしまっては、爽やかさはあっても奥行きが無く、コクの感じられないものになるのは自明です。
こういった平板な味わいのワインが増えることを危惧したピエロパンは、ソアーヴェ地区がイタリアワイン格付け最上級のDOCGに昇格する際に、厳しい生産基準を設けることを要求しました。
しかしながら、この要求が受け入れられることはありませんでした。
これに反発したピエロパンは、ソアーヴェ・クラシコを代表する生産者であるにも関わらず、最上級格付けのDOCGを名乗らずに現在に至っています。
現在のソアーヴェに迎合するには、ピエロパンはあまりにも誇り高い生産者でした。
誰もが認めるソアーヴェの雄
ピエロパンが作るソアーヴェは、火山性土壌のワインらしい、迫るようなミネラルの骨格があります。
品質に妥協したことは一切無く、手に入りやすいスタンダード・クラスのこのワインですら緊迫感にあふれています。
9月と10月に分けて品種ごとに手摘みで収穫し、セメントタンクでの醗酵、澱と共に一定期間寝かせてからのボトリングなど、ワイン作りにかけている手間が明らかに違いますね。
DOCGを名乗っていないながら、ソアーヴェの名声を支えているのは実質このワイナリーといっても過言ではありません。
爽やかさなだけ、飲みやすいだけの白ワインとは奥行きとパワーが全く違います。
頑固に守られてきたソアーヴェの真の姿、是非味わってみてください。