ローヌ系品種というとまず浮かぶのはシラーとグルナッシュ。
そして白ブドウで言えば、間違いなくヴィオニエです。
でも、ローヌ系品種はそれだけではありません。
品種レベルではヴィオニエの影に隠れてしまいがちですが、マルサンヌだって素晴らしいワインを作ります。
A.O.C.エルミタージュ・ブラン、A.O.C.クローズ・エルミタージュ・ブラン、A.O.C.サン・ジョセフ・ブランなど、もう一つの白ブドウ、ルーサンヌと力を合わせながら偉大な白ワインを生み出す品種です。
こちらの記事では、マルサンヌについて紹介します。
パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
ソムリエ厳選!マルサンヌのおすすめワイン3選
スタンダードな「M.シャプティエ サン・ジョセフ・ブラン デシャン」
品種 | マルサンヌ |
---|---|
産地 | フランス ローヌ地方 |
価格帯 | 3,000〜6,000円 |
「M.シャプティエ」は、フランス、ローヌ地方の代表的生産者。
北部ローヌにあるA.O.C.サン・ジョセフの白ワインです。
ハチミツや白桃のニュアンス、口に含むとトロッと丸みを帯びた味わいが広がります。
「マルサンヌ」のお手本のような味わいです。
爽やかな味わいの「ドメーヌ・イヴ・キュイロン マルサンヌ・ヴァン・ド・フランス ヴィーニュ・ダ・コート」
品種 | マルサンヌ |
---|---|
産地 | フランス ローヌ地方 |
価格帯 | 2,000〜3,000円 |
ローヌ地方の雄、イヴ・キュイロンによるマルサンヌ。
ビビッドでクリアな香りと味わいが特徴です。
カリンや黄桃、ハチミツの香りと、フルボディな味わいの中にもフレッシュな酸味、クリアで爽やかな印象が残ります。
奥深さのある「タービルク マルサンヌ」
品種 | マルサンヌ |
---|---|
産地 | オーストラリア |
価格帯 | 1,500〜2,500円 |
オーストラリアはヴィクトリア州の生産者。
1927年からマルサンヌを栽培しており、これが現存する世界最古のマルサンヌ畑とされています。
ローヌ地方のものとは異なり、ライムやハチミツレモン、ジャスミンの爽快な香りと切れ味のある酸味が特徴。
若いうちはややさっぱり目ですが、瓶内で熟成させるうちにマーマレードのようなニュアンスが現れ、厚みと奥行きを持った複雑なワインになっていきます。
マルサンヌの特徴
マルサンヌはフランスのローヌ地方で広く栽培されている品種です。
ルーサンヌという白ブドウとセットで栽培されることが多く、基本的にブレンドされてひとつの白ワインになります。
菩提樹やカモミール、洋ナシといった香りの華やかさを持つルーサンヌに対して、味わいに厚みを持たせるのがマルサンヌ、といわれています。
ローヌ地方北部のような乾燥した気候と水はけの良い土壌を好み、先述したようなA.O.C.エルミタージュ・ブランやA.O.C.サン・ジョセフ・ブランも作られています。
ルーサンヌよりも栽培しやすいため、栽培面積が増えており、ラングドック・ルシヨン地方や、フランス以外であればアメリカのカリフォルニア州やワシントン州、オーストラリアのヴィクトリア州でも栽培されています。
ヴィクトリア州は世界最古のマルサンヌの畑があることで有名です。
とはいえ、温暖すぎる気候の下ではしまりが無いだらしない味になりますし、涼しすぎる環境では完熟せずに十分なアロマが得られません。
力強い香り立ち
カリンや黄桃など熟れた香りが強く、ほのかにアーモンド、マジパン、ビスケットのような香りが感じられます。
往々にしてボリュームがあり、力強い香り立ちをしています。
しっかりとしたフルボディの味わい
アルコールによる骨格がしっかりした、フルボディの辛口。
口の中で広がり、後味にほのかなナッツのような苦味を残します。
シノニム
エルミタージュ・ブラン(スイス)
マルサンヌの主な栽培地について
フランスのローヌ地方やサヴォワ地方
主な栽培地はローヌ地方。
ルーサンヌと共に栽培され、ブレンドされて一本のワインを作ります。
香りを与えるルーサンヌに対して、味わいのボディを作るのがマルサンヌといわれています。
ローヌ地方のマルサンヌ・ルーサンヌブレンドは厚みがあり、トロみがある舌触りと辛口でほろ苦い味わい。
鶏肉、豚肉や甲殻類との相性が非常に良く、フランクなセミヨンのようなイメージで使うことが出来ます。
ローヌ地方から南に下った、ラングドック・ルシヨン地方でも同様に、ルーサンヌやヴィオニエなどとブレンドされて白ワインになっています。
こちらは比較的カジュアル。
価格的にも味わい的にも日常使いしやすいものが多数あります。
また、サヴォワ地方でも栽培されており、こちらは暑く乾燥したローヌ地方のものとは違った味わいになります。
トロみのあるフルボディな味わいはそのままに、全体的に酸味が増し、透明感のある爽やかな雰囲気があります。
こちらは川魚のバター焼きやムニエル、チーズなどが思い浮かぶ味わい。
その他の国ではスイス、アメリカで栽培
スイスではエルミタージュまたはエルミタージュ・ブランという名前で栽培されています。
特にヴァレー州では甘口になったり、アルコール度数の高いドライなワインになったりと活躍しています。
また、アメリカのワシントン州では、ヴィオニエとのブレンドで活躍しています。
ワシントン州も暑く乾燥した地域で、シラーやヴィオニエなど、ローヌ系の品種が栽培されている地域です。
マルサンヌに合う料理
- 豚肉のロースト
- ラム肉の香草焼き
- エビグラタン
- ホタテのバター焼き
- 白身魚のムニエル
- マッシュポテト
- 根菜のグラタン
- ホワイトシチュー
- ラクレット
- トム・ド・サヴォワ
- 白カビチーズなど
まとめ
マルサンヌはそこまで目立つ品種ではないですが、南仏のお気軽ブレンドから北ローヌの良質な白ワインを支える縁の下の力持ち的な存在です。
まずは定番としてローヌ系のワインを、そして特にブルゴーニュの白好きな傾けにサヴォワやスイスのマルサンヌを試してみてください。
単一品種としてはまだまだマイナーな存在なので、お買い得なワインがたくさん見つけられますよ。