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ロワール地方のワインの産地や品種の特徴|おすすめワイン

ロワール地方のイラスト

フランスの庭園と呼ばれる風光明媚な自然に古城がとけこむロワール地方。
全長1,000kmのロワール川に沿って東西に広がる、非常に多様なワイン産地です。

この距離はおおよそにして東京~福岡と同じ。
東端は中央山塊に達する大陸性気候、西端は大西洋に注ぎ込む海洋性気候と、栽培環境も幅広い。
生まれるワインは様々です。

そんな中でロワール地方のワインに共通しているのは、上品な軽やかさ。
ワイン単体がでしゃばり過ぎない適度な個性は、食卓にもぴったりです。

ロワール地方の主な産地

ロワール地方は非常に長く、栽培環境も多様な場所です。
ロワール川の下流から上流へ、産地を分けて紹介していきます。

ペイ・ナンテ地区

ミュスカデから作られる白ワインがこの地区の名産。
ロワール川が大西洋に注ぎこむ海洋性気候の影響を受ける場所です。
ブルターニュ公領として統治されていた歴史もあり、ロワール地方の中でもやや異なる歴史背景を持つ、海のワインが生み出されます。

有名なA.O.C.ミュスカデ・ド・セーブル・エ・メーヌはミュスカデ(=ムロン・ド・ブルゴーニュ)から作られるさっぱりした辛口白。
青リンゴのような爽やかな香りと軽いボディのミュスカデですが、シュール・リーという手法を用いてボディを強化することがままあります。

シュール・リーとは、出来上がったワインをしばらく澱と一緒に寝かせておく手法。
澱からの成分がワインに溶け出し、味わいに奥行きが生まれます。
収穫の翌年3月1日までこうして澱と共に置いておいたミュスカデは、「シュール・リー」と表記されることがゆるされています。

日本の甲州で作られるワインも、同様の目的で「シュール・リー」を行うことがあります。

広いA.O.C.ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌでも、近年はエリアの違いで個性があることが広く知られるようになり、幾つかのサブ・リージョンが生まれています。

もう一つ、この当たりでよく見られるものはグロ・プランからつくられるA.O.C.グロ・プラン・デュ・ペイ・ナンテ。
ミュスカデ同様に軽めのフレッシュなワインになりますが、ワインのスタイルによっては昆布のようなミネラル感が強く出る傾向にあります。

アンジュー・ソミュール地区

アンジェ市~ソミュール市に広がるワイン産地。
赤、白、ロゼ、スパークリングに甘口と様々なスタイルが作られています。

また、このエリアを境に、土壌ががらっと変わります。
アンジェ市より下流はアルモリカ山塊のスレートや花崗岩、上流はトュフォーと呼ばれる白亜の石灰質。
一般に花崗岩系は果実味が前にでる明るい味わいに、石灰質はクリアな酸が通るタイトな味わいになると考えられています。

一番広い範囲をカヴァーしているのがA.O.C.アンジュー。
白はシュナン・ブラン、赤はカベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨン、またはガメイから作られます。
中でも特に片岩質土壌の日当たりの良い優良なエリアが、A.O.C.アンジュー・ヴィラージュと名乗ることが出来ます。

ソミュール市の南側には、A.O.C.ソミュールが広がります。
中でもトュフォーの石灰質土壌からなる台地のカベルネ・フランは有名で、A.O.C.ソミュール・シャンピニィとして格付けされています。

世界最高のカベルネ・フランを生み出す、クロ・ルジャールの畑もこのエリア。
力強い味わいでありながら、決して鈍重にならず、つるんと円を描くような味わいは、まさにカベルネ・フランの最上級。
中々飲むことは叶いませんが、機会があれば逃さず試して欲しいワイナリーの一つです。

また、アンジュー&ソミュール地区では素晴らしい甘口ワインも作られています。
何を隠そうロワール地方唯一のグラン・クリュはこの甘口ワイン。

A.O.C.カール・ド・ショーム・グラン・クリュは2011年に制定されたフランス屈指の甘口産地。
ロワール川とレイヨン川に挟まれた場所にあり、午前中の霧と、午後の日照で甘口ワインには理想的な場所として知られていました。
シュナン・ブランから作られ、たっぷりとした蜂蜜の香りとシュナンならではの酸味が美しい調和を生み出します。

基本的に格付けのピラミッド構造がないロワールですが、ここだけは、A.O.C.コトー・デュ・レイヨン→A.O.C.コトー・デュ・レイヨン・プルミエ・クリュ・ショーム→A.O.C.カール・ド・ショーム・グラン・クリュとピラミッド構造になっています。

また、格付けこそされていませんがA.O.C.ボンヌゾーも、カール・ド・ショームと肩を並べる品質の甘口産地です。
サンソニエールが素晴らしいボンヌゾーを作っています。

これらを含む広いエリアのA.O.C.コトー・デュ・レイヨンは、半甘~甘口の比較的気楽なワイン産地。
シュナン・ブランから作られますが、この品種は完熟しても酸味が落ちない特徴を持っています。
そのため、甘口でもフレッシュな酸があり、後口にべたべたとした印象を残しません。
日本ではあまり取り上げられていない産地ですが、肩の力の抜けた普段使いしやすい甘口ワインです。

ロワール川を挟んでその北側にあるのは、パワフルな辛口シュナン・ブランを生み出すA.O.C.サヴニエール。
ロワール地方のほとんどのシュナン・ブランと味わいを異にし、高いアルコール度数、完熟した果実香、昆布や海藻を思わせるミネラル香が特徴です。
若いうちは硬く閉じており、10年以上熟成させてからようやく飲めるようになる、特殊なエリアです。

トゥーレーヌ地区

より内陸の気候を受け、石灰質のトュフォー土壌が支配的になるトゥーレーヌ地区は、アンジュー地区と比べてピシッとしまった味わいがします。

広いエリアを包括するA.O.C.トゥーレーヌでは、赤、白、ロゼ、スパークリングと多様なスタイルが認められています。
ピノ・ノワールやガメイ、シュナン・ブランに爽やかなソーヴィニヨン・ブラン。
ここのソーヴィニヨン・ブランは、適度に軽く、心地よいハーブの香りでさらりと上品な味わい。
次のサントル・ニヴェルネ地区のソーヴィニヨン・ブランのようにがっしりと作り込まれた味わいではないので、普段飲みにぴったりです。

また、シュナン・ブランも上品さとリラックス感のバランスが適度で、これまた普段飲みにお勧め。
アンボワーズやオワズリーなど、コミューン名を併記することのできるエリアもあります。

A.O.C.ヴーヴレと、その南側の対岸A.O.C.モンルイ・シュル・ロワールは、シュナン・ブランを原料に、辛口~甘口とスパークリングワインを作っています。

ロワール川の北側、つまり南向き斜面に位置するヴーヴレは果実味が前に出るスタイル。
明るく柔らかい味わいと、特にスパークリングワインに良いものが多い場所です。
対岸のモンルイ・シュル・ロワールは比較的内向的で、冷たい酸味が特徴。
ヴーヴレと対照的なクールな味わいが魅力です。

赤ワイン、特にカベルネ・フランから作られるものはトゥーレーヌ地区の名産品。
有名なA.O.C.シノンと、その対岸のA.O.C.ブルグイユ、その中でも丘になっているA.O.C.サン・ニコラ・ド・ブルグイユは世界でも屈指のカベルネ・フラン銘醸地。

ブルグイユとシノンの関係は、ヴーヴレとモンルイ・シュル・ロワールの関係と似ています。
ロワール川の北側にあるブルグイユは、カベルネ・フランの熟れた果実やキノコ、ココアなどを思わせる香りを発揮し、比較的しっかりとした骨格があります。

対岸のシノンには綺麗な酸味があり、果実の香りも小粒の甘酸っぱい苺のようなイメージになります。
トマトのヘタやゴボウのような植物や土の香りがあり、これがシノンの味わいのアクセントになっています。

どちらのエリアも、川に近い砂や堆積度の畑は軽くフレッシュ、斜面や丘にあるトュフォー土壌のものはしっかりとした味の構造を持ち、熟成にも向きます。

サントル・ニヴェルネ地区

ロワール地方の最上流、中央山塊にある大陸性気候のエリア。
他のエリアと異なり、厳しい表情のシリアスなワインが増えてきます。

メインで活躍するのは白のソーヴィニヨン・ブランと赤のピノ・ノワール。

A.O.C.サンセールとA.O.C.プイィ・フュメは、世界中のソーヴィニヨン・ブランの指標となる味わいです。

ここではロワール川が南北に流れていますが、サンセールがその西側、プイィ・フュメが東側に広がります。
場所により幾つかの土壌がありますが、とりわけ有名なのはシレックスと呼ばれる火打石が多い土壌。
鋼鉄のような厳しい酸味が全体を貫き、およそブドウという果物から出来た飲み物とは思えない、無機物の香りが漂います。
線香花火の煙のような香りは、「ガンパウダー」、「フュメ香」などと呼ばれ、シリアスなスタイルのソーヴィニヨン・ブランのトレードマークのようになっています。

ワインにがっしりとした骨格が生まれ、長期熟成も可能になるなど、シレックス土壌の畑を持っていることを自慢げに表記する生産者も多くいます。

シャブリと同じようなキンメリジャン土壌などもあります。
石灰質が多ければタイトに、粘土や砂が多ければ熟れたフルーツ感が感じられるワインになります。

また、ロワール川と平行するように流れるシェール川でもソーヴィニヨン・ブランは活躍しています。
A.O.C.メヌトゥー・サロンやA.O.C.カンシー、A.O.C.ルイィなどは、知名度こそ劣るものの、サンセールやプイィ・フュメにも匹敵するワインを作っています。

白のソーヴィニヨン・ブランに次いで、この地区の第二の武器となるのが赤のピノ・ノワール。
白ワインの産地のイメージとは裏腹に、しっかりしたタンニンの武骨なピノ・ノワールが作られています。
特にサンセールの香り豊かで引き締まったピノや、タンニン豊かでどっしり落ち着いたメヌトゥー・サロンのものは特筆に値します。

ロワール地方の主なブドウ品種

ロワール地方では様々な品種が栽培されています。

白ブドウ

シュナン・ブラン

白でメインになるのは、シュナン・ブラン。
完熟しても酸味が落ちない特徴を活かして、甘美な甘口ワインにすることも多い品種です。
この特徴のため、果実感が良く出るものでも、カリンや洋梨など、食感のあるフルーツのイメージを受けます。
また、長期熟成にも耐え、逆に数年程度の熟成では熟成したワインのニュアンスがあまり出てきません。
ロワール地方以外でも栽培されていますが、特に南アフリカに質の良いものが多くあります。

ソーヴィニヨン・ブラン

もう一つの地方を代表するブドウ、ソーヴィニヨン・ブランは、ニュージーランドを始め今や世界中で栽培されている品種。
多少収穫量が多くても香りが薄まらず、きちんと個性を発揮する有り難いブドウでもあります。

ハーブや芝生の青く爽やかな香りが特徴。
基本的には青りんごのような、これも爽やかな果実香がありますが、しっかりと熟させるとグァバやパイナップル、トロピカルフルーツのたっぷりとした香りが現れます。

特にサンセールやプイィ・フュメで見られるスモーキーなフュメ香は有名です。

ミュスカデ

また、ロワール川が大西洋に注ぎ込むペイ・ナンテ地区ではミュスカデが主力。
穏やかな香りと優しい味わいで、先述の2品種に比べると無個性です。
澱と一緒に寝かせるシュール・リー製法との相性が良く、ワインは優しいのに強い味の料理にも負けないという、面白い個性を獲得します。

黒ブドウ

カベルネ・フラン

赤の代表的な品種はカベルネ・フラン。
名前から分かる通り、カベルネ・ソーヴィニヨンと親戚関係にあるブドウです。

カベルネ系の背筋が伸びた品位ある味で、植物や土の香りが強く出る傾向にあります。
また、しっかり造り込んでもどこか軽やかさを感じるブドウでもあり、この感じはカベルネ・フランでしか得られません。

質の劣る畑や寒すぎる作柄では植物的な青い香りが強く出過ぎてしまうので、良い畑の物や、最近なら2015年など暖かい作柄の物を選びましょう。

その他の品種

ロワール地方ではピノ・ノワールやその弟分とも言えるガメイ、コー(=マルベック)など、他にも多くの品種が栽培されています。
甘酸っぱいロゼワインA.O.C.ロゼ・ダンジューの原料となるグロローや、ペイ・ナンテ地区のもう一つの白ブドウ、グロ・プランなど、あまり見かけないけれど特定の地区と深く結びついている品種もあり、面白い産地です。

格付け

ロワール地方で唯一、格付け構造があるのはA.O.C.コトー・デュ・レイヨン。
甘口の産地です。

格付けの上から順に以下の通りです。

  1. カール・ド・ショーム・グラン・クリュ
  2. コトー・デュ・レイヨン・プルミエ・クリュ・ショーム
  3. コトー・デュ・レイヨン

【ソムリエが選ぶ】おすすめのロワール地方のワイン3選

ドメーヌ・ド・パリュ レ・パンセ・ド・パリュ A.O.C.シノン

カベルネ・フランの肉厚な果実味、重さと両立する独特の軽やかさ、ゴボウやキノコのようなアクセント、どれもが味わえるおススメのワイン。
フランといえばピーマンのような青い香りと覚えている方も多いですが、この不思議な重さと軽さの感覚は他の品種には出せない個性です。

ドメーヌ・デュテルトル シュナン・ブラン A.O.C.トゥーレーヌ・アンボワーズ

洋梨やカリンの香りと、カッチリ味わいを引き締める酸味。
カジュアルに楽しめて、それでいて上品さを失わない、トゥーレーヌ地区全体の特徴を体現しているワインでもあります。

リュシアン・クロシェ A.O.C.サンセール

サンセールの代表的な造り手のひとつ。
爽やかな青りんごの香りと軽いハーブのタッチ、サラッとしているようで飲み込んだ後から香りが伸びる、玄人好みの一本です。

まとめ

ロワール地方は品種も多様、栽培環境も多様、作られているワインのスタイルも、価格帯も多様です。
この地方だけでかなりの味わいが揃う便利な場所。

普段飲みに使えるカジュアルな価格のものも多く日本に輸入されているので、まずはそこから使い勝手の良さを体感してはどうでしょうか。

その他のフランスのワインの地方については以下の記事から参考にしてください。

フランスの産地のイラストフランスワインの産地や品種の特徴|各地方を楽しもう