白桃、蜂蜜、ユリのような上品な香り。
美しく魅力的な第一印象とは裏腹に、厳格な酸を鎧のように纏い、味わいの奥底は謎に包まれたまま。
もう一度香りを嗅ぐと、牡蠣のような海を思わせる香りと独特の石油香。
刻々と香りは移ろい、口の中で転がしてみれば舌先にともる仄かな甘味に気付くでしょう。
数多くのワイン通を虜にする「リースリング」。
その魅力を知ってしまうと、もう後には戻れません。
13世代にわたり、世界最高峰のリースリングを作り続けるアルザス地方・ヒューゲル家のワインをご紹介します。

パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
香り・味の特徴


白桃や蜂蜜のゆったりと甘やかな雰囲気を、レモンや石油香が覆い、引き締まったタイトな印象に。
口に含むと、レモンを思わせるしっかりとした酸味が走り、次いでほんのりとした蜜のような甘味が感じられます。
全体としてカチッと締まったカッコいい白ワインなのですが、ゆっくりと味わっているとじわっと優しい味わいが広がってきます。
一言でまとめられないこの味わいの移り変わりが、リースリングが最も高貴なブドウだと言われる所以でもあります。
焦らずゆっくりと味わってください。
このワインは、ヒューゲル家の中でも手に入りやすい価格のもの。
契約した近隣農家のブドウを使っていますが、リースリングの特徴がしっかりと楽しめ、入門としても自信をもっておススメできます。
ソムリエ・ワインエキスパート2次試験 – 解答例、コメント例(模範解答)
外観 | 清澄度:澄んだ 輝き:輝きのある 色調:グリーンがかかった、レモンイエロー 濃淡:やや濃い 粘性:やや軽い 印象:若々しい、成熟度が高い |
香り | 第一印象:控えめ、華やかな 香りの特徴:柑橘類、りんご、白桃、 ユリの花、火打石、貝殻、はちみつ、花の蜜 香りの印象:若々しい、第1アロマが強い |
味わい | アタック:やや軽い 甘み:まろやか 酸味:溌剌とした、シャープな 苦味:控えめ 余韻:やや短い |
提供 | 温度:8~10度 グラス:中庸 |
評価 | エレガントでミネラリー |
リースリングのメッカ、アルザス地方

このワインが造られているのは、リースリングのメッカともいえるフランスのアルザス地方。
ドイツとの国境にあり、現に戦争などで何度もドイツ領になったことのあるエリアです。
今でこそリースリングは世界各地で栽培されていますが、やはりここアルザスのリースリングは飛びぬけて品質が高い。
リースリングといえば、アルザスかドイツです。
アルザス地方は、フランス北部・内陸に位置するのですが、日照量も豊富で、意外にパワフルな白ワインを産出します。
内陸ならではの昼夜の寒暖差と豊富な日照が、ぎゅっと密に詰まった香りと筋肉質な味わいを生み出すため、白ワインといえどメインの肉料理と張り合える味わい。
アルザスのリースリング一本でコースを通すのも中々通でカッコいいですね。
まずはここから!ヒューゲル家のスタンダードワイン

ヒューゲル家は13代に渡りアルザスでワイン造りを続ける老舗中の老舗。
自社畑で世界最高峰のリースリングを作るほか、今回のリースリングクラシックのように近隣の農家から購入したブドウでも高品質なワインに仕上げ、アルザス地方を代表するワイナリーのひとつです。
買いブドウで作られたワインというと、低価格だけれども力の入っていないイメージがありますが、とんでもない。
比較的広いエリアのブドウを使って、ヒューゲル家のように実力のある生産者がワインを仕上げるのであれば、その地域全体をよくあらわしたスタンダードワインになり得るのです。
初めてリースリングを味わうのに、これほどうってつけのワインはありません。
ようこそ、奥深いリースリングの世界へ!