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ガリシア地方のワインの特徴とおすすめワイン3選

ガリシア州の画像

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ガリシア地方はスペインの他の地方とはかなり違った場所です。
ケルト文化の影響を受け、スパニッシュ・ケルトと呼ばれるバグパイプを使ったガリシア音楽も有名。

緑豊かで雨も豊富、海岸線は入り組んでおり、リアス式海岸の語源となった場所といえば、少しはイメージしやすいでしょうか。

育てられているブドウも、フレッシュで香り高い海のワインになるアルバリーニョや、つるっと硬質な舌触りのゴデーリョ、メンシアと、ほかの地方とは異なります。

本来であればカスティーリャ・イ・レオン州に含まれるビエルソD.O.も、ゴデーリョやメンシアの名産ですので、ガリシア地方と一緒に紹介します。

スペイン全土のワインについては以下の記事を参考にしてください。

スペインを表す画像スペインワインの特徴とおすすめワイン3選

ガリシア地方の主なワイン生産地

雨が多い「ガリシア州」

リアス式海岸の由来となった入り組んだ海岸がある「リアス・バイシャスD.O.」は、アルバリーニョを用いたフレッシュで香り高いワインで注目を集めました。

アルバリーニョは上品でトロピカルな香りを持っています。
海岸沿いに南下すると、お隣のポルトガル「ヴィーニョヴェルデ」エリアなのですが、ここでも華やかな品種として重宝されています。

さらに細かく5つのサブ・リージョンに分けられるのですが、基本的にどこも雨が多く、棚仕立てが主流。

湿度が溜まりにくく、光合成効率も良いというブドウ栽培の利点と、棚の下でキャベツなどほかの野菜を育てることができるという農家の実際的な利点があります。

中でも海岸沿いの「バル・ド・サルネス」というサブ・リージョンがリアス・バイシャスD.O.の2/3を生産しており、代表的な場所だと言えます。

ガリシア州のその他の産地は、もう少し海から遠ざかり、大西洋の気候に大陸性の寒暖差が加わります。

山頂の空気で引き締まる「リベイラサクラ」

ガリシア地方の真ん中に位置する「リベイラ・サクラD.O.」は川沿いの急斜面でメンシアやゴデーリョが有名。
これらの品種は痩せた斜面の厳しい環境でポテンシャルを発揮し、山頂の空気のように凛として引き締まった味わいのワインになります。

黄金の谷「バルデオラス」

そこから更に内陸に向かうと、「黄金の谷」という意味の「バルデオラスD.O.」。
渓谷地帯の斜面でゴデーリョの実力を開花させたのがこのエリアです。
フローラルな香りとは裏腹の、ゴリゴリと押すような味の厚さがあり、いぶし銀的なシブさが素晴らしいワインになります。
注目され始めたのは2000年以降ですが、一気に高品質なワイン産地として名を馳せました。

小さな作り手が中心の「ビエルソD.O.」

その東隣はカスティーリャ・イ・レオン州ですが、ここにバルデオラスと隣接する「ビエルソD.O.」があります。
ここもバルデオラスやリベイラ・サクラ同様、斜面から高品質なメンシアと少量ではありますがゴデーリョを生み出します。

山頂付近のスレート土壌では、硬く引き締まった頑強な味わい、標高が低く砂や粘土が増えるエリアでは肉厚な果実味がある味わいになります。

この辺りの産地は、かなり最近になってから注目されたことと、急斜面や入り組んだ海岸線でまとまった広い畑が持てないことから、小さな作り手が中心となって盛り上げています。

ラウル・ペレスやホセ・パラシオスなどカリスマ的な生産者も存在し、ワインの品質に評価が追い付いてきましたが、まだまだ掘り出し物も多いエリアです。

ガリシア州の主なブドウ品種

キレの良い「アルバリーニョ」

まずは海岸付近で栽培されているアルバリーニョ。
香り高く、果実味のある厚い味わいの白ワインになりますが、同時に独特のキレや緩みの無い口当たりを持ち、よくあるフルーティだけど締まりのない南国系ワインとは一線を画します。
後口の岩塩のような塩苦みがポイント。

基本的には品種の香りがしっかりとあるので、ステンレスタンクでクリーンに醸造しますが、中には樽熟成されたものも。
ボリュームとキレの良さが両立しており、一般には魚介のワインと言われていますが、肉料理含め幅広い食べ合わせに対応できます。

海に近く湿度のある場所なので、リアス・バイシャスでは棚仕立てが一般的。
リアス・バイシャスの中でもやや内陸のサブ・リージョンなど、場合によっては垣根仕立てで栽培されることもあります。

高級白ブドウ「ゴデーリョ」

より内陸の渓谷地帯で育てられるゴデーリョは、アルバリーニョのような派手さはありませんが、実直で腰の据わった堂々たる味わい。
標高の低い畑の若木から作られるカジュアルラインは、ゴデーリョとしてはやや物足りないさっぱりしたものもありますが、古木で標高の高い畑から作られたものは、どっしりと下の方から迫ってくるような迫力のあるワインになります。

一見地味で、名前も知られていない土着品種にはありがちなことで、長らく無視されていたようです。
しかし、近年の土着品種見直しのムーブメントや、そもそもポテンシャルの高い品種だったことから、今ではスペインを代表する高級白ブドウのひとつになっています。

デリケートな香りの「トレイシャドゥーラ」

もう一つ、トレイシャドゥーラというデリケートな香りの白ブドウがあり、これはポルトガルと接する「リベイラD.O.」をメインに栽培されています。

隣のポルトガル、ヴィーニョ・ヴェルデ地域でもブレンドしてフレッシュで飲みやすい白ワインが出来ています。

黒ブドウは「メンシア」

ガリシア州を代表する黒ブドウはメンシア。
白のゴデーリョと栽培されている場所がかぶり、ガリシア州のシャルドネピノ・ノワールといった様相を呈しています。

密に味が詰まった力強いピノ・ノワール、あるいはより細見に引き締まったシラーのような、エレガントで硬く、パワーのあるワインになります。

既に高く評価されている一方で、選りすぐりのブドウに樽熟成を長く施した高級ラインになると逆に味がキツく詰まりすぎて飲みにくいといった課題も生まれています。

とはいえブドウの質は非常に高く、世界中から期待されている品種だと言えるでしょう。

特別な格付けは無い

ガリシア州にはV.P.やD.O.Ca.も無く、特別な格付けはありません。
リアス・バイシャスのサブゾーンや、標高と土壌で味わいが変わるメンシアやゴデーリョがあり、方向性としてはリオハやプリオラートのような産地の細分化に向かう可能性はあります。

また、今回ご紹介している「ビエルソD.O.」はカスティーリャ・イ・レオン州ですが、同州の他のD.O.からは場所も品種も大きく隔たっており、ガリシア州との共通点の方が多い産地です。

リアス・バイシャスD.O.もポルトガルのヴィーニョ・ヴェルデ地域との共通点を多く持ち、国境や格付けにとらわれない面白い産地になっています。

【ソムリエが選ぶ】おすすめのガリシア地方のワイン3選

メンシアを味わうなら「ラウル・ペレス ウルトレイア・サン・ジャック ビエルソD.O.」

ウルトレイア・サン・ジャック [2019] ラウル・ペレス

ビエルソのトップ生産者の一人、ラウル・ペレスのスタンダード・レンジ。
樹齢80年程度の古木から収穫された高質なブドウを活かすべく、大樽やコンクリートタンクでの醸造・熟成をしています。
力強さと華やかさが上手くまとまり、このあたりを飲むとメンシアのポテンシャルが良く分かります。

力強いゴデーリョ「テルモ・ロドリゲス ガバ・ゴデーリョ バルデオラスD.O.」

スペインのアンファン・テリブル、テルモ・ロドリゲス。
リオハ、リベラ・デル・デュエロ、トロなど様々な産地で素晴らしいワインを作り上げている異常な才能の持ち主です。
ゴデーリョの独特の腰の据わり、湧き上がってくるようなパワーがしっかりと表現されています。

香りが華やかなでキレの良い「トマダ・デ・カストロ グラン・リバド アルバリーニョ リアス・バイシャスD.O.」

リアス・バイシャスの中心的なエリア、バル・ド・サルネスで代々アルバリーニョを栽培してきたトマダ・デ・カストロの代表的な作品。
伝統的な棚仕立てで栽培され、アルバリーニョの華やかな香りと後味のキレの良い塩苦みが美味しいコントラストを描きます。

まとめ

スペインの中でも緑豊かなガリシア州のワインは、中々にユニークでした。
また、比較的新しい産地でもあり、同時にポテンシャルの高い古木も残っているため、これからの発展が楽しみなエリアでもあります。

アルバリーニョ、ゴデーリョ、メンシアとどれも素材で勝負できる高品質なブドウが揃っているため、エントリーレンジのワインでもどこか高級ワイン然とした整った味わいになることが多く、生産量の少なさも乗じて、今後ますます高級産地として認知されていくと思います。

ガリシア州のこれからに目が離せません。