「ブルゴーニュは高い…!」
ワイン愛好家と話をすると必ずと言っていいほどこの話題が出てきます。
特に、以前のブルゴーニュワインの価格を知っている年配の方は、実感のこもった嘆息とともに近年の値上がりを口にされるようです。
それも仕方のないことかもしれません。
ブルゴーニュ地方という限られた小さな土地のワインを世界中の人が欲しがるという、圧倒的なまでの需要過多に加えて、近年の異常気象による不作・凶作。
そこに為替の問題や投機の対象となっている背景なども絡み、毎年価格が上がっているという状況です。
他の国でもその土地を良く現した素晴らしいピノ・ノワール、シャルドネが存在しますし、良くも悪くも非常にブルゴーニュ風のものもあります。
かといって、ブルゴーニュのワインはブルゴーニュ以外に替えは聞きません。
低価格の広域ACブルゴーニュクラス、更に広いエリアを含むACコトー・ブルギニョンが注目を浴びているのも、実感として良く分かるところです。
美味しいブルゴーニュワインが見つからないという方は、ミシェル・マニャンのACコトー・ブルギニョンをお試しいただいたでしょうか。
この記事が素晴らしい出会いのきっかけになるかも知れませんよ。

パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
香り・味の特徴
明るく輝きのある淡いレッド。
ふわっと香り立ち、イチゴやチェリーのピノ・ノワールらしい赤系果実の香りに加えて、ブラッドオレンジのような明るいニュアンスが特徴的。
あくまで節度を持ちながら、明るく陽気な雰囲気をたたえています。
口に含むと、ピシッとした酸味に支えられたジューシーな果実味が溢れる。
ほんのりプチプチするくらいフレッシュさがあり、想像以上に肉厚な旨味を感じることができます。
ナチュラルで楽し気な飲み口の下に見え隠れするしっかりとした味わいの構造は、とてもこの価格のブルゴーニュだとは思えません。
全体の上品な雰囲気をパワーや陽気さで損なうことが無いのは、紛れもなくブルゴーニュのバランス感覚。
このワイン独自の世界観を持っており、地域名クラスや村名クラスの代替案としてでなく、しっかりとオススメしたいワインです。
例外的なコトー・ブルギニョン
正直、驚きの一本です。
コトー・ブルギニョンやパストゥグランと呼ばれる、ブルゴーニュ~ボジョレーの広いエリアのブドウで作られるワインで満足感のあるものと出会うことは稀でした。
有名な作り手のものでも期待外れでがっかりするものが多々あります。
ある意味、畑のレベルがワインのレベルに直結する、いかにもブルゴーニュらしく恐ろしい銘柄なのです。
これほどの品質のものに出会ってしまうと、逆にどんな裏があるのだろうと首をかしげてしまいます。
公開されている情報だけで説明がつくのか心もとないですが、味わいの秘密を見ていきましょう。
選び抜かれたピノ・ノワールのみ使用
コトー・ブルギニョンは規定上ガメイをブレンドすることができますが、このワインはピノ・ノワール100%で作っています。
さらに、その畑はほとんどがコート・ド・ニュイのもの。
モレ・サン・ドニ村、シャンボール・ミュジニー村、ヴォーヌ・ロマネ村の畑のものをメインに使用しているそう。
畑の樹齢も50年を超える古木とのことで、この価格帯にしては異常なほどしっかりと原料のブドウを選んでいることが分かります。
ビオディナミでの進化
また、ドメーヌ・ミシェル・マニャンは近年ビオディナミ農法に移行したようです。
ビオディナミ農法とは、畑だけでなく畑の置かれている自然環境を広く考える、視野の広い自然農法の一形態。
自然の持つエネルギーの活性化を図りながら、より健全な環境を作り出します。
科学的に立証されていない手法も目立ちますが、結果的に滑らかな飲み口やメリハリのあるダイナミックな味わいを持つワインになることが多々あります。
ミシェル・マニャンのコトー・ブルギニョンもその良い例。
ワインの骨格を形作るタンニンをあまり感じさせないにもかかわらず、しっかりとした腰の強い土台があり、その上でメリハリのついた味わいがうねる、そんな味わいです。
ブルゴーニュのピノ・ノワール決定版
ガメイなし、選ばれたピノ、古木、ビオディナミ…
品質を保証する様々な要素はありますが、それにしても出来上がったワインの質が高すぎます。
また、最近のものに限って言えばヴィンテージでのブレも見受けられません。
綺麗にバランスがとれ、まとまりの良さを見せる2013年、自然体で流れるような線の美しさがある2014年。
2015年はまだ飲むことができませんが、一般的なヴィンテージ評からいって、より果実の張りが感じられエネルギー感の感じられるものになっているのではないでしょうか。
いずれにせよ、このワインを飲まずにブルゴーニュを諦めるのは余りに惜しい。
中々ブルゴーニュに手を出せずにいる方も、値段が上がってご無沙汰している方も、久しぶりに手放しで喜べる一本です。
必ずトライしてください!