このワインを語る時に「映画の巨匠フランシス・コッポラが作ったワイン」というのは、もはや失礼な気がする。
フランシス・コッポラといえば、『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』などの名作監督として知らない人はいないだろう。
しかし彼は、世界的な映画監督であると同時に、ワインづくりに情熱を捧げる一人の生産者であり、またワインのマーケッターとしての類い稀なる才能を持ち合わせていたのだ。
伝統的な手法でカリフォルニアのテロワールを生かしたワインづくりを追求しつつも、誰も思いつかなかったような革新的なアイディアで、カルフォルニアのワイン界を牽引し続ける、”ワイン界の巨匠”の一人と言っても過言ではない。
畑に動植物の生態系循環をつくる自然農法のスタイルをいち早く取り入れ、自身のワイナリーを子連れで遊びに来られる遊園地のようなワンダーランドへと変貌させ、誰もが手頃に楽しめるようにとワインを缶に入れて発売したのは記憶に新しい。
パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
これぞ!まさに「カリフォルニアのシャルドネ」
今回紹介するダイヤモンド・コレクションは、そんなコッポラが「最高品質のワインを手ごろな価格帯で楽しんでほしい」という思いから、カリフォルニアの素晴らしい畑で繊細に育てられたブドウの個性を最大限に引き出し、これまで積み上げた経験と技術を全て注ぎ込んでつくりあげた。
コッポラ自らが「これらのワインは我々のプライドだ」と言い切る。
外観・香り・味の特徴
色はやや濃いめで輝きをまとったイエロー。
温暖な大地を思わせる、洋梨、アップル、トロピカルフルーツの香り。
どことなく海風を思わせるミネラルと心地の良い酸。
強すぎず優しく広がる香ばしさは、フレンチーク樽とステンレスタンクで10ヶ月熟成されたワインが半量ずつブレンドされている、このワインならでは。
果実の濃縮感をしっかり感じながらも、程よい酸とクリーミーなコクがバランスよく存在するあたりが、まさにカリフォルニアの上質なシャルドネである。
ソムリエ・ワインエキスパート2次試験 – 解答例、コメント例(模範解答)
外観 | 清澄度:澄んだ 輝き:輝きのある 色調:黄金がかった、イエロー 濃淡:やや濃い 粘性:やや軽い 印象:若々しい、濃縮感がある |
香り | 第一印象:開いている、チャーミングな 香りの特徴:りんご、洋梨、桃 パッションフルーツ、スイカズラ、干し草 バター、バニラ、はちみつ 香りの印象: 熟成感が現れている、ニュートラル |
味わい | アタック:強い 甘み:まろやか 酸味:なめらかな 苦味:控えめ バランス:ジューシー、厚みのある、豊潤な 余韻:やや長い |
提供 | 温度:8~10度 グラス:中庸 |
評価 | 成熟度が高く豊か、 |
カリフォルニア、モントレーの地形や気候
冷涼な気候で知られるカリフォルニア、モントレー。
ソノマ・コーストからおよそ250kmほど南、太平洋に大きく開いたモントレー湾の周辺は温暖な気候ながら、海と内陸を遮る丘陵がないため、寒流からの冷たい空気がそのまま内陸部まで流れ込む。
また初夏〜収穫期にかけては特に雨量が少なく乾燥している。
加えて、日中の温暖な日差しと、太平洋から流れ込む冷気と霧の影響を受け、カリフォルニアの他の地域よりもブドウの育成期間が約2週間も長いそうだ。
ブドウはゆっくりと成熟していくため、酸を保ちながらも果実味が濃縮される。
ダイヤモンド・コレクションは、モントレーの沿岸部と内陸部の渓谷にある2つの畑のシャルドネがバランスよくブレンドされ、幾層にも重なる風味の豊かさが表現された1本となっている。
この際、映画監督という肩書きは忘れて、ワインづくりに生涯を捧げる一人の生産者「フランシス・コッポラ」がプライドをかけてつくった情熱の1本をぜひ味わってほしい。