好きでワインを飲んでいると「ワインは初めに誰が作ったんだろう?」となんとなくでもワインの歴史について知りたくなりますよね。
そこでこちらの記事ではワインの歴史について紹介しています。
年表形式で書いていますので、画像と見出しだけでサクッと読んでしまうのもオススメですよ。

パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
ワインは古代文明から存在し、古代ギリシャで発展する
自然からなる多くの食べ物と同じように、実はワインは人が作ったのではなく自然にできたものを発見するという形で人との関わりができたようです。
人がぶどうを放置してたら醗酵してしまって、舐めてみたら美味しかったとかそんな感じではないでしょうか、たぶん…。
推定300万年前のことですからね!
古代メソポタミアの文学作品である「ギルガメッシュ叙事詩」ではワインの醸造が始まったのは紀元前5,000年がもっとも古いとされていますが、ジョージアで発掘された約8,000年前の壺が科学的な分析によりのワイン醸造の最も古い痕跡であると2017年に発表されています。
また、黒海からカスピ海まで東西に走るコーカサス山脈ではB.C. 8,000頃からワインが飲まれていたとも考えられていますし、アルメニアには世界最古とされるワイン醸造所の跡地が発見されています。
B.C 6,000〜8,000辺りがワイン醸造の最古なのではないでしょうか。
引用元:世界最古のワイン造りの壁画
イラン高原やアルメニアではB.C. 6,000頃から醸造が始まっていたとされていますが、メソポタミアではぶどうを栽培する土地に適さなかったため、B.C. 4,000くらいでようやく栽培ができるようになったようです。
エジプトに近いメソポタミアでは壁画にワインを造る道具が描かれていることからワインが醸造されていたとされています。
ビールの醸造もこの頃から始まっていますが、ワインの方が高級品として扱われたようです。
B.C. 3,000にはクレタ島やサントリーニ島にワインの取引があったという証拠があり、B.C. 1,500にフェキニア人がギリシャにワインを伝えたという文献が残っています。
フェキニア人は地中海沿岸を拠点としており、レバノンから地中海沿いの多くの地域にワインを輸出していたとされています。
また、フェキニア人はヴィンヤード(ぶどう畑)の形成やヴィティス・ヴィニフェラ(品種)の原種の普及にも貢献したとされ、ワインの歴史において外せない存在となっています。
ワインはフェキニア人によってギリシャに伝えられ、ギリシャではさらに盛んに造られるようになりました。
当時のワインは水割りが基本で、原種で飲むのは野蛮とされています。また、医学の父と呼ばれる医師ヒポクラテスはワインに解熱や利尿作用、疲労回復といった効果があると書き記しており、ワインは薬としても利用されていたということがわかります。
こうしてギリシャでワインは盛んに醸造され、地中海全域へワインを輸出するようになります。
メソポタミアでワインが造られてからギリシャで発展するまで数千年という年月が経っていますが、人類の歴史と共にあったお酒だということがよくわかりますね。
B.C.600についにフランスへ、ローマの勢力拡大とともにヨーロッパ全域へ広がる
中世ヨーロッパとキリスト教の繋がりは非常に強く、ワインも例外ではありません。
多くの芸術や文化がキリスト教に捧げられ、神と人の社会が形成されます。
イエス・キリストがワインを自らの血と指したことから、ワインは神聖なもので儀礼として飲むものとされ、むやみに飲むのは罪とされていました。
中世後期には一般的な飲み物となり、ブルゴーニュワインが有名になるのはこの頃からのようです。
フランスのワインは16世紀の大航海時代で一気に世界中に広まります。
ぶどうは産地によって味が変わりますので、新世界のワインが作られるきっかけとも言えますね。
17世紀ごろには教会や修道院が学校・研究所という役割を担っていました。
そのためワイン畑を作ったり、ワイン醸造技術を高めたりとワインの発展にかなり貢献しています。
この頃から現代と同じ「瓶詰め・コルク栓」で流通しており、その技術の高さが伺えますね。
フランスは数多くの壁を乗り越えて発展した
18世紀にはボルドーやブルゴーニュで品質を重視したワイン造りが始まります。そこも先駆けといったところでしょう。
1789年のフランス革命によってワイン産業は一時期停滞してしまいますが、その後の産業革命で一気に回復します。
19世紀の産業革命全盛期では、なんと現在の2倍のぶどう畑があったようです。
ぶどうの3大病禍
フランスは19世紀にはぶどうの3大病禍に悩まされてしまいます。
- 1855年~1856年|ウドンコ病
- 1863年~19世紀末|アメリカから浸入したフィロキセラ
- 1878年~1880年|べト病
この1855年〜1880年の3大病禍の影響でフランスワインは数十年の間、停滞してしまいます。
第一次世界大戦と世界恐慌
19世紀後半に病禍の問題を解決し、またフランスワインは発展を遂げます。
しかし、その後の第一次世界大戦や世界恐慌の不景気により供給過剰になり、品質の低い安いワインが大量に出回ってしまいます。
そのような状況を統制するためにワイン法が適用され、品質保証を表すAOC法の発足に繋がります。
このようにフランスワインは多くの壁を乗り越えて、世界トップのワイン生産国としての地位を守り続けてるということですね。
歴史がワインを美味しくする
紹介したように、普段何気なく飲んでいるワインはこんなにも歴史の深いお酒なんですよね。
みんなが愛していたからこそ、現代に残してもらえたのだと思うと非常に嬉しいですね。
是非とも今日もありがたく、テルマエ・ロマエをイメージしながらワインをいただきたいと思います。