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カタルーニャ、バレンシア、ムルシアのワインの特徴とおすすめワイン3選

カタルーニャ地方の地図

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カタルーニャ州、バレンシア州、ムルシア州。
スペイン地中海沿いに続くこのエリアでは、テンプラニーリョは影を潜め、ガルナッチャやカリニェナ、ボバルやモナストレルといった品種が主役を張るようになります。

リオハD.O.Ca.と並ぶ、スペイン最高格付けのプリオラートD.O.Ca.があり、毎日の乾杯に欠かせないカバがあり、地中海の恵みを受けたフルーツ感たっぷりの赤ワインたちがあるこのエリアは、スペイン中央部とはまた違った豊かさを持っています。

プリオラートを筆頭に進化しつつある、この3州を紹介します。

スペイン全域の特徴については以下の記事を参考にしてください。

スペインを表す画像スペインワインの特徴とおすすめワイン3選

スペイン地中海エリアのワイン生産地

このあたりは基本的に地中海の影響を受けて、暖かく安定した気候を保っています。
しかし同時に、内陸部に近いエリアになれば乾燥してきますし、山が地中海の影響を遮ることもありますので、場所によってユニークな環境を持っています。

カバで有名な「カタルーニャ州」

スペインを代表するスパークリングワイン、「カバD.O.」はカタルーニャ州のペネデスというエリアを中心に作られています。
ポピュラーなワインですが、イレギュラーな規定をしていて、かなり広いエリアでの生産が認められています。

共通する点は、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵で作られること。
また、使用するブドウは白ブドウのマカベオ、チャレッロ、パレリャーダと黒ブドウのガルナッチャ(グルナッシュ)、モナストレル、トレパット。
シャルドネピノ・ノワールの使用も認められましたが、基本的には上記の品種がメインに使われます。

マカベオ、チャレッロ、パレリャーダのカバ白ブドウは、シャルドネほどしっかりとしたストラクチャーや個性を出さずに、何と無く爽やかなフワッとサラッとした味わいで流れていきます。
そのベースの味と、瓶内二次発酵と熟成のコクが掛け合わされて、カバの味わいが決まります。

なので、低価格のものはブドウもサラッとしていて、熟成のコクもほとんどないため、かなり爽やかでアペリティフ向け。
高価格のものは数年熟成させたりしているので、どっしりとクリーミーな味わいになってきます。

気楽で安いものからシャンパーニュ然とした高級なものまで網羅する、このバリエーションの豊かさがカバの良さ。

とはいえ、普段目にすることが多いのは廉価なカバの方。
どちらかと言えば、カジュアルなイメージの方が強いワインです。

これを危惧したのか、2016年には新たに単一畑の高級カバが認可されました。
「カバ・デ・パラヘ・カリフィカード」という呼称で、36ヵ月以上の熟成が義務付けられています。

今後、少しずつ高級カバを手にする機会が増えるかも知れません。

「カバD.O.」の生産を支えているペネデスですが、「ペネデスD.O.」という呼称もあります。
広いエリアで、カバと同じチャレッロやマカベオから作られる発泡無しの白ワインや、スペインでは珍しくリースリングゲヴュルツトラミネールなども作られています。

さて、スペインの最高格付けD.O.Ca.はまだ2つしか存在していません。
ひとつが「リオハD.O.Ca.」で、もうひとつがここカタルーニャ州の「プリオラートD.O.Ca.」。
1980年代から開発され始め、2009年に認められた新しいD.O.Ca.ではありますが、その品質に疑問を挟む人はいないでしょう。

リオハとは違い、ここで主役になっているのはガルナッチャ(グルナッシュ)とカリニェナ(カリニャン)です。
カタルーニャ州では、これらが古くから栽培されていた伝統的なブドウ。

栽培環境は非常に厳しく、モンサン山脈の山間部にあり、ゴツゴツとした粘板岩(ここでは“リコレッラ”と呼ばれます)の急斜面に畑があります。

12世紀にスカラ・デイ修道院を作ったカルトゥジオ会の修道士によってワイン作りが始められたそうです。
カルトゥジオ会は伝道・布教をせずに禁欲的な修道生活を行うカトリック教会の一派で、人里離れた険しいプリオラートの山間部は修道院を建設するのにうってつけだったことでしょう。

その厳しい環境から、働き手も減少し、一時は過疎地となっていましたが、現在は誰もが認める銘醸地。
中世の修道士同様、禁欲的に畑仕事に励む作り手たちのワインには背筋が伸びるような芯が通っていて、不思議と透明感に溢れています。

そのプリオラートをアルファベットのCの字状に囲むのが「モンサンD.O.」。
第二のプリオラートとして注目されている産地です。
山の麓をぐるっと回る形のD.O.なので、様々な土壌や環境が入り混じっており、非公式ではありますが幾つかのサブ・ゾーンに分けられています。
中でもファルセット村に有力な生産者が集まっています。

その他、カタルーニャ州では「コンカ・デ・バルベラD.O.」や「コステルス・デル・セグレ」など新しく切り開かれている場所が多くあります。
国際品種+超完熟ブドウ+樽熟成=高級ワインという古い価値観がいまだに蔓延っているのが気になるところですが、これからが期待されるエリアです。

ジューシーなワインが多い「バレンシア州」

お隣のバレンシア州はボバルという黒ブドウがメイン。
濃くアルコール度数の高いワインになることから、ブレンド用としてバルクで売られていたようですが、近年はモダンなスタイルのワインが作られています。

有名なものは、ムスティギージョが作るボバル。
日本でも千円台のエントリーレンジから手に入ります。

「バレンシアD.O.」ではカベルネ・ソーヴィニヨンなども成功しており、特産のオレンジのような、メリハリのあるジューシーなワインが生まれています。

温暖差の激しい「ムルシア州」

更に隣のムルシア州では、モナストレルが主役。
ボバルと同様に、色が濃く度数の高いワインが作れるため、バルク売りされていた品種ですが、近年質の高いものが作られるようになっています。

ムルシア州の「イェクラD.O.」や「フミーリャD.O.」といった有名なエリアは、州の中でも北寄りの場所にあるため、大陸性気候。
それもそのはず、カスティーリャ・ラ・マンチャに隣接しており、乾燥していて、寒暖差が激しい環境でブドウ栽培がなされています。

地中海エリアで栽培される主なブドウ品種

洗練された味わいの多い黒ブドウ品種

地中海エリアで主役になるのは、ガルナッチャ(グルナッシュ)、カリニェナ(カリニャン)、ボバル、モナストレルの黒ブドウ。
勿論、テンプラ二ーリョもありますし、国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨンメルローなどもあります。

主役の4つの品種に共通して言えることは、高級ワイン用としては不向きな品種だと言うことです。

例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンのような品種は、本家ボルドーでは言わずもがな、チリに行ったってオーストラリアに行ったって、ブルガリアだって、どこで育てられても高級ワイン然とした筋の通った味が出せます。

ガルナッチャなどはローヌでも活躍していますし、樹齢が上がってきてから急にレベルアップするような所がありますが、他の3つ同様、気を抜くと粗く、アルコール度数が高く、べたっと濃くて飲み疲れするようなワインになってしまいます。

その分、適切な場所で上手に栽培され、醸造されると、周りをアッと驚かせる素晴らしいワインに化けることがあります。
これはワインの大きな醍醐味です。

ガルナッチャやカリニェナは、何といってもプリオラートの粘板岩土壌の上で花開きます。
高い標高や粘板岩からくる酸味、引き締まったテクスチャーのおかげで味わいは縦方向に突き抜け、品種特徴の果実味の厚さ、味の濃さ、アルコール度数の高さ、ワイルドなハーブやレザーのようなアクセントが全てプラスの方向に働いてくれます。

結果、香り高く、フルボディでも重すぎず、大きくバランスを取って綺麗な余韻を残すような、高品質なワインに。

ボバルやモナストレルは、どろっと濃い特徴はそのままに、舌触りや口当たりを滑らかにすることでそれを活かそうとしています。
現代的な洗練された舌触りのこれらのワインは、重たさを感じさせません。

多様な白ブドウ品種

白ブドウは、カバに使われるチャレッロ、マカベオ、パレリャーダを中心に、アイレンやシャルドネ、珍しいところではゲヴュルツトラミネールも育てられています。

チャレッロは単体で作られると青りんごのような爽やかさと、硬水のようなカチッとした味わいになります。
マカベオはリオハのビウラと同じ品種で、厚みのある果実感、パレリャーダはふわっと花のような香りが特徴。

格付けはバレンシア州に2つ

スペインで広く用いられている原産地呼称D.O.の中から昇格が認められた最高品質のものが、D.O.Ca.。
リオハとプリオラートの2つだけが認められています。

また、それとは別に特色ある畑から作られたカリスマ性のあるワインはヴィノ・デ・パゴ(V.P.)と格付けされ、地中海エリアではバレンシア州に2つ存在します。

    • ロス・バラゲセスV.P.
  • エル・テレラソV.P.
    ・・・高品質なボバルを生み出す、ボデガ・ムスティギージョ所有

【ソムリエが選ぶ】おすすめのスペイン地中海エリアワイン3選

酸味が良い「スカラ・デイ ガルナッチャ プリオラートD.O.Ca.」

スカラ・デイ修道院から畑を引き継いだワイナリーのガルナッチャ。
プリオラートの粘板岩(リコレッラ)土壌、標高500m~800mの若木から作られています。
噛みごたえのある果実味と背筋が伸びるような酸味、プリオラートらしい一本。

ボバルを愉しむなら「ムスティギージョ メスティス バレンシアD.O.」

ボバルをメインに、ガルナッチャやシラーなどをブレンドしています。
飲みごたえは勿論、その滑らかな口当たりと、べたつかない飲み口が注目。
ボバルの可能性を開いたワイナリーのカジュアルレンジです。

ワンランク上のカバ「グラモナ インペリアル ブリュット グラン・レゼルバ カバ」

チャレッロ、マカベオに少量のシャルドネをブレンド。
高級カバを代表するワインです。
5年以上の熟成からくる、クリーミーな口当たりと独特のコクがあり、カバのポテンシャルを味わうにはうってつけ。

まとめ

地中海エリアはカタルーニャ州を筆頭に、まだまだ進化していくワイン産地です。
優れた土地があり、意欲ある生産者が現れ、これからを期待させる幾つかのワインが作り出されています。

プリオラートを囲むモンサンなどはかなりお買い得ですし、ペネデスのチャレンジングな白ワインや、洗練されつつあるモナストレルやボバルなど、探そうと思えばまだまだ手ごろな価格で良いワインが見つかる産地でもあります。

まずはカバでも片手に、地中海ワインの発掘を始めてみてはいかがでしょうか。