オーストラリアのシラーズ。
ちょっとワインに詳しい人なら、果実爆弾と揶揄される、べっとりと濃くて重たい赤ワインを思い浮かべるのではないでしょうか。
シラーズというブドウは、フランスではシラーと呼ばれ、「ズ」は付きません。
ピリッと緊張感のあるスタイリッシュなフランスの「シラー」と区別して、いかにも太陽をさんさんと浴びてじゅくじゅくと完熟した濃いオーストラリアの「シラーズ」。
これが「シラーズ」のイメージです。
そう、少し前までは。
今回は若々しく新しい「シラーズ」をおススメします。
甘口→辛口 | |
ボリューム(軽→重) | |
タンニン(控えめ→渋い) | |
酸味(控えめ→しっかり) | |
飲みやすさ(初心者にも◎) | |
プレゼント向き | |
コスパ | |
ひとこと評価 | 渋みと酸味も程よく口当たりもスムーズ |
外観・香り・味わい
外観
鮮やかな濃いめの赤紫色
香り
はっきりしっかりした香り立ち。
摘みたてのフルーツのような瑞々しい香り。
けれども決してジャムのようにべったりとした不快な強さではなく、摘みたてのフルーツのような瑞々しい香りです。
ほんのりミントやブラックペッパー、革製品の香りも。
味わい
ジュースのような引っかかりのない飲み心地と、良い具合に肩の力が抜けたスムーズな味わい。
香りも、しっかりとした飲みごたえも、確かにシラーズです。
けれども、べったりと重たくないし、どこか爽やかささえ漂っている。
重々しい雰囲気の全くない、足取り軽やか、友人たちとシェアしたくなるような、現代のシラーズになっています。
樽を使わない
高級なワインや、飲みごたえのあるワインを作る時は、ほとんど例外なくワインを樽の中に入れて熟成させます。
そうすることで、口当たりがまろやかになり、より多くの香りが現れます。
また一方で、オーストラリアのかつての「シラーズ」のようにパワフルなワインは、樽でしばらく熟成させないと味わいがなじまず、ちょっとキツくなってしまう、その調整の意味もあったのだと思います。
結果、がつーんと濃厚なワインが生まれていったのです。
正直、飲みづらいと思うことも多いです。
このワインは、樽を使わない、SO2を使わない、という選択をすることで、軽やかで鮮やかな味わいを実現しています。
口に含んだ時の活き活きとした味わいが全然違いますね。
SO2を使わない
SO2というのは、ワインの味わいを保つための酸化防止剤です。
SO2はブドウが醗酵する際にも少量自然発生します。
勿論、規定どおりに使用されている酸化防止剤は人体に影響はありません。
醗酵中に雑菌がわかないように、また、瓶詰めしたあとの味わいが劣化しないように使用されるものです。
ただ、これを使うことでワインの活き活きした生の味わいが損なわれていると考え、SO2をできるだけ使わないワイン作りにチャレンジする人たちが増えています。
もともとワインの健全な醗酵をサポートするものなので、失敗してしまうとかなりクセのあるヒネた味になってしまう。
常に大きなリスクと隣り合わせの作り方なのです。
しかし、もし成功すると素晴らしいワインが出来上がります。
鮮やかな香りとぐんぐん口の中で伸びていく味わい。
ワインはブドウからできているんだ、と感覚で伝わってくるみずみずしさがあります。
バトル・オブ・ボスワースはSO2不使用で成功したワインの中でも、とりわけ良く出来ている部類です。
それがこの値段で、ネットでも買えるというのは本当に嬉しい限り。都内ではたまにスーパーに売ってあることもあります。
まとめ
農作物としてのワインが持つ瑞々しさ、飲んでいて楽しくなってくるエネルギー感。
オーストラリアの「シラーズ」に苦手意識がある人、所謂「ビオワイン」を敬遠している人は、だまされたと思って飲んでみてください。
ぐびぐび飲んでしまいますよ。
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