チリは南北に長いワイン産地です。
既に銘醸地として名高いマイポ・ヴァレーやアコンカグア・ヴァレーなどは北側にあり、大手ワイナリーによって開拓されてきました。
フランス顔負けのしっかりと構成のとれたカベルネやシラーが生まれる土地で、近年はレベルの高い白ワインやピノノワールも作られています。
ですが、今回ご紹介するのは南側の産地!
これまでほとんど無視されてきた、垢抜けない土地ですが、ここが今チリで一番アツいのです。
まだちょっと垢抜けない、でも素朴で飛び切りチャーミングな、農家のワインをご紹介します!

パティシエとして製菓店やカフェのマネージャーを経験。レストランサービスを学ぶため、関西のホテルレストランを中心に約10年以上勤務。ワインに興味がありソムリエ呼称資格を取得。
保有資格
・日本ソムリエ協会 ソムリエ呼称資格
・調理師免許
香り・味の特徴
明るい輝きのあるレッドの外観。
香立ちは若く溌剌としていて、ザクロやブルーベリーなど採れたての果実を思わせます。
そこへブラックペッパー、ミント、カカオと毛皮のニュアンス。
ジューシーで飲み心地が良く、ぐいぐい飲める味わいです。
軽いタンニンや、果実味を支える酸味も喉に心地よく、口の中一杯に味わいがしみわたります。
毎日でも飲みたい、やさしい赤ワインです。
農家のワイン
チリの農家が自家用に作って飲んでいたワインのことを「ピペーニョ」といいます。
決して洗練されたものではありませんが、ジュースのように飲めて、素朴さを残した心温まる味わいで、注目を集めつつあります。
特に、土地の歴史を大切にするこのヴィーニャ・アウパのような自然派のワインメーカーは、こういったスタイルのワインを作り、誇らしげに「ピペーニョ」と表記しています。
ヴィーニャ・アウパの作り手、デイヴィット・マルセルは、フランス自然派ワインの大御所マルセル・ラピエールの孫弟子。
自然な農法で、樹齢120年という大切な古木を栽培し、ピペーニョを作っています。
同じくチリでピペーニョを作っている兄弟子、ルイ=アントワーヌ・リュイットは彼のワインを飲むなり一言、「作り続けろ」と言ったそう。
農家の伝統を引き継ぐ覚悟を持つ者が後輩に送る、最大級の賛辞だと思います。
大変小さな作り手ではありますが、世界で最も影響力を持つと言われるワインライター、ジャンシス・ロビンソンがわざわざ現地を視察しに来るなど、その実力が徐々に認められてきています。
古くて新しいチリ
このワインに使われるのは、チリの伝統的な品種、パイスやカリニャン。
どちらもチリで長い歴史を持つブドウですが、基本的に高級ワイン向けではありません。
世界中でカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネが流行し、チリ北部がカベルネの適地として驚異的なポテンシャルの高さを発揮した一方で、これらの伝統品種は忘れられ、南部の畑も荒廃していきました。
それからしばらく経ち、国際品種から土着品種、世界共通の洗練された味からその地方特有の味へと流れが変わった現在、ようやく再評価されようとしているのがチリ南部の畑なのです。
荒れ果てた畑に育つパイスの古木は、さながらチリの遺産。
多くの若手ワインメーカーがこれらの遺産を引き継ぎ、新しい「ピペーニョ」として世に送り出しています。
再評価され、アップデートされているチリの伝統。
あなたの知らない、古くて新しい味がここにあります。
売り切れやすい商品です。リンクを貼っておきますが、売り切れの際はご容赦ください。