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シェリーで有名なアンダルシアワインの特徴とおすすめワイン3選

アンダルシア地方の画像

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イベリア半島の最南端、ジブラルタル海峡を挟んで目と鼻の先にはモロッコ。
そんな場所にアンダルシア州はあります。

グラナダが陥落し、レコンキスタ完了の年と言われている1492年は、奇しくもコロンブスのアメリカ大陸発見と同じ年。
それはヨーロッパ諸国が新しい航路を開拓し、植民地獲得に努めた大航海時代でした。

そんな時代、アンダルシア州の銘酒、シェリーは長い船旅の友として欠かせない酒として愛されてたのです。
マゼランの船に乗り、世界一周を果たした最初のワインとも言われています。

その後も、海賊の略奪したシェリーがロンドンに流れたことをきっかけにイギリスの宮廷で大流行、シェークスピアの作中にも登場し、シェリーとイギリスは切っても切れないものとなります。

アンダルシア州での主役はやはりシェリー。

日本ではあまり見かけませんが、その他面白いワインもまだまだあります。
長いドラマチックな歴史を持つシェリーと、アンダルシアワインをご紹介します。

スペイン全域の特徴については以下の記事を参考にしてください。

スペインを表す画像スペインワインの特徴とおすすめワイン3選

アンダルシア州といえば「シェリー」

シェリーとは、ヘレス・デ・ラ・フロンテラの町周辺から出来る、酒精強化ワインです。

ブドウ果汁や発酵中のワインにブランデーを加えてアルコール度数を上げたものを、酒精強化ワインと言います。

通常のワインよりもアルコール度数が高いため保存も効き、大航海時代でなくとも使い勝手の良いワインです。

特にヘレス・デ・ラ・フロンテラ、サンルカール・デ・バラメーダ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアの3つの町を結ぶ三角地帯で熟成されたもののみが、シェリーを名乗ることができますが、このエリアからイギリスやオランダなどに輸出されてきた歴史があります。

シェリーといえば、冬の水分をスポンジのように蓄えておいて夏の乾燥を和らげる真っ白な「アルバリサ」土壌が有名ですが、味わいのタイプは製造過程で分かれることになります。

キーワードは「酸化熟成」と「産膜酵母(フロール)」。

シェリーを作る過程で、初めに「産膜酵母」という膜のようなものがワインの液面に発生します。
これはワインが空気と接触するのを防いでフレッシュな味わいを保つのと同時に、ナッツのような香りを付与するもの。

この産膜酵母が張ったベースのワインにブランデーを加えてアルコール度数を上げるのですが、ここで産膜酵母の活動限界を超えた度数までブランデーを添加して、産膜酵母を消すこともできます。

15%までで添加をストップし、産膜酵母を残して熟成させたものを「フィノ」、さらに度数を上げていき、産膜酵母を消して酸化熟成させたものを「オロロソ」と呼びます。

シェリーのタイプは次の通り。
上から下に行くにつれて、色も味わいも濃くなっていきます。

産膜酵母タイプ
  • フィノ
    産膜酵母を残したまま熟成させたフレッシュなタイプ。爽やかな味わいとナッツのようなコク、キレの良い辛口。サンルカール・デ・バラメーダの町で熟成されると独特の塩気が加わり、「マンサニージャ」と呼ばれます。
  • アモンティリャード
    フィノの熟成途中で産膜酵母が消え、途中から酸化熟成したもの。お醤油のような香りが仄かに加わり、ややボディを感じるようになります。その中でもオロロソと同程度ボディがあるものは、特別に「パロ・コルタド」と呼ばれます。
酸化熟成タイプ
  • オロロソ
    17%までアルコールを加え、産膜酵母を消して酸化熟成させたもの。紹興酒にも似た豊かな香りと、どっしりとしたボディが感じられます。
その他
  • モスカテル
    天日干ししたモスカテルのブドウを原料にした極甘口タイプ。
  • ペドロ・ヒメネス
    天日干ししたペドロ・ヒメネスのブドウを原料にした極甘口タイプ。アモンティリャードとブレンドして「ミディアム」、オロロソとブレンドして「クリーム」とも呼ばれる。

基本的には、どこから「酸化熟成」を始めるのか(それとも全く始めないのか)が辛口シェリーの味の違いになってきます。

その他、熟成年数が長いとVOSやVORSなどの表示もされますが、上記のタイプ分けを覚えることが、好みのシェリーを見つける近道。
製造過程が一番味の違いを生み出しているからです。

また、これも好みのシェリーを選ぶという点では重要ではありませんが、シェリー作りには「ソレラシステム」という独自の熟成方法があります。

これは、シェリーが入った樽をピラミッド状に積み重ねて保管し、下から順番に出荷していくシステム。
減った分は、上の段にあるシェリーから補充していくため、シェリーは複数年ヴィンテージのブレンドになり、常に一定の味わいを保つことが出来ます。

シェリー以外のワイン

さて、アンダルシア州にはシェリー以外のワインもあります。
あまり日本で見かけることはありませんが、代表的なものは「マラガD.O.」。
これもシェリーと同じく酒精強化や天日干しブドウの甘口ワインで、シェークスピアの時代にイギリスで人気だったようです。

同じエリアでアルコール度数15%以下の辛口ワインを作ると、「シエラス・デ・マラガD.O.」という呼称になります。
近年の辛口指向に対応したD.O.で、モスカテルやペドロヒメネスから香りの良いから口ワインが作られています。

近年では、テンプラニーリョ、プティ・ヴェルドの他にピノ・ノワールからもワインが作られているようです。

また、アンダルシア州内陸には「モンティーリャ・モリーレスD.O.」があり、非常に寒暖差の激しい内陸性気候からアルコール度数の高いワインが生まれます。

自然と15%程度のアルコール度数になるため、酒精強化をせずにシェリーと同様のスタイルでワインが作られています。

アンダルシアの主なブドウ品種

主な品種は、シェリーに使われる白ブドウのパロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテル。

パロミノは比較的ニュートラルな品種ですが、アンダルシア州の気候に合っており、製造過程のキャラクターが強いシェリーのベースとして活躍しています。

ペドロ・ヒメネスもモスカテルも、甘口タイプとなることが多く、同名の甘口シェリーがあります。
どちらもフルーツの艶やかな香りがあり、甘さに負けない香りのボリュームを持ちます。

現代の嗜好にあわせ、辛口のスティルワインに仕上げられることもありますが、その場合は華やかな香りを持った爽やかな味わいになります。

その他、スペイン全土で見られるようなガルナッチャ(グルナッシュ)、テンプラニーリョカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種も栽培されていますが、日本で見かけることはあまりありません。

格付け表記は例外で「シェリー」のみ

通常、原産地呼称を持つスペインワインは「ラ・マンチャD.O.」のように「D.O.」とラベルに表記されます。

シェリーはカバと並び、この例外の一つ。

シェリーは単に「シェリー」と記載するだけでよく「シェリーD.O.」と表記する必要がありません。
それだけ歴史的に名の知れたワインなのです。

【ソムリエが選ぶ】アンダルシアのおすすめワイン3選

辛口なシェリーなら「エミリオ・ルスタウ フィノ」

酸化熟成なしのフレッシュな辛口タイプ「フィノ」のシェリーです。
キレの良い飲み口で、幅広く食事とあわせることが出来ます。
超辛口の白ワインといった感じで、癖も少なく、シェリーが初めての方も楽しく飲める一本。

深みのある味わいの「シェリー ・コロシア・ オロロソ」

伝説のレストラン「エル・ブジ」が愛したコスパ満点シェリー。

タイプは酸化熟成させたコクのある「オロロソ」。
日本酒の古酒や紹興酒にも似た深みのある味わいです。

華やかな香りと爽やかな飲み口の「テルモ・ロドリゲス マウンテン・ブランコ シエラス・デ・マラガD.O.」

伝統的に甘口に仕上げられる「マラガD.O.」のモスカテルを使って辛口に仕上げたワイン。
辛口なので「シエラス・デ・マラガD.O.」です。
マスカットやオレンジを思わせる華やかな香りと、爽やかな飲み口、みかんの白いワタのようなホロ苦みが心地よく感じられます。

テルモ・ロドリゲスはスペインの様々な場所で伝統をアップデートするようなワインを作っている面白い人で、他のラインナップも素敵なものばかりです。

まとめ

アンダルシア州のワインといえば、ほとんどシェリーになってしまうのですが、歴史的にもそれだけ大切にされてきた飲み物です。
大航海時代のワインだったことや、シェークスピアの劇中にでてくることなど、伝説や逸話もたくさんあるワイン。
通常のワインに比べてやや長持ち(オロロソや甘口は更に長持ち)するので、冷蔵庫に入れて少しずつ飲むのも楽しいものです。

アンダルシア州の歴史・文化に思いを馳せながら楽しんでみてください。